国土交通省が過疎地域での配送実験を計画するなど、引き続き大きな注目を集めるドローン。実用化に向け、精力的に取り組むのが全日本空輸(以下、全日空)だ。約1年半前に社内横断組織「ドローン事業化プロジェクト」を発足。全日空はドローンでも運行主体となるのか。プロジェクトメンバーの保理江裕己氏と信田光寿氏に聞いた。
(聞き手は白井 咲貴、島津 翔)
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<オンライン・インターン>
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なぜ全日本空輸がドローン事業に乗り出したのでしょうか。その理由は。
保理江裕己氏(以下、保理江氏)私たちは飛行機を安全に飛ばすノウハウを持っています。飛行機が飛ぶ空域では、管制と運行管理というルールがきちんと整備され、国の航空局や我々のような航空会社などがそのルールを守り、日々飛行機を飛ばしています。
一方で、ドローンが飛ぶ低空域ではそのルールやノウハウがありません。将来、ドローンを事故なく飛ばすために、我々が培ったノウハウや安全の知識が生きると考えています。
きっかけは2016年に全日空グループ内で、未来事業の創出を目指す組織「デジタル・デザイン・ラボ」が発足したこと。そのチームの中で、「エアラインにとって破壊的イノベーションは何か」を自由に話し合った。「全日空のようなフルキャリアの航空会社にとって、将来的に脅威となるのは何か」ということです。昔だったら、それはLCC(格安航空会社)ですよね。これからは、それがドローンやロケットやアバターになるのでは、という話になったのです。
ちょうど私たちがそのような話をしているときに、社内提案制度である「ANAバーチャルハリウッド」で2人の社員が「ドローンプロジェクト」を提案しました。
そこで一緒にプロジェクト化したのがドローン事業の始まりです。デジタル・デザイン・ラボからは私とチーフ・ディレクターの津田佳明が参加しています。他にもパイロットやエンジニアにも声をかけ、信田(下の写真の右から二番目の信田光寿氏)にもそのときに声をかけました。全員で約10人のチームです。

プロジェクトの内容を具体的に教えて下さい。
保理江氏:大きく3つあります。
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