大企業を突き動かす「死ぬかもしれない」という危機感

田上光一氏(C Channel):日本で起業家やスタートアップが生まれにくい要因として、大企業の存在がしばしば指摘されます。日本でイノベーションを起こしていくうえで、村田さんご自身は大企業の役割をどう見ていますか。

村田氏:大企業はスタートアップの味方だと思います。今、大企業はイノベーションに本気で取り組まないと死んでしまうと感じていると思います。例えば自動車業界。4~5年前にコネクテッドカーの概念が現れた時、スマートフォンが登場した時の携帯電話業界と同じような危機感が急に広まりました。クルマメーカーではなくてサービス企業に変わらないと生きていけないという危機感です。

 こうした状況に多くの大企業が直面していることで、長年培ってきた自分たちの技術と外部の技術を融合させることで変化しようという動きが活発になってきています。生き残りをかけて、一気に本気になってきました。

 そうした危機感は大企業の幹部と会うたびに感じています。スタートアップにとって、大企業は一緒にイノベーションを起こしていくパートナーだと考えています。

国府田遼氏(東芝デバイス&ストレージ):一般的に大企業では、40代半ばの世代を境に価値観が大きく違うことが、イノベーションにも影響しているのではないでしょうか。職歴や年齢、経験を積んでいくと、自分たちのビジネスモデルを変えたくなかったり、社会で起きている変化を信じようとしなかったりする傾向が出てくると思います。それに比べると、20代や30代は変化を直視しようという雰囲気があります。

村田氏:世代の問題というより、外部環境の変化が大きいのではないでしょうか。一昔前は、大企業にとってインターネットは1つのプロモーションの手段でしかありませんでした。インターネットで何か新しいことを始めようという動きは基本的にスタートアップにしかなく、そのギャップが大きかったと思います。

 しかし、スマートフォンが普及したことで、大企業も明らかにそれを使って自分たちの事業を変えていく必要があると強く認識したのだと思います。スマホが登場したことで、大企業とスタートアップの目線が一致してきました。それによって、大企業の中にいるインターネットに詳しい人たちが、仕事をしやすくなったのではないでしょうか。