「日本は『イノベーション』という言葉のハードルが高すぎるうえ、自己評価も低すぎる。しかも、日本では出る杭は打たれる」。こう疑問を投げかけたのは佐藤氏(サイバーステップ)。ファッション・インテリア雑貨の企画販売などを手掛けるナカタ・マキ氏(Maki&Mpho)も、「日本はクリエイティビティが高いのに、そうではないと自己評価しがちだ」と話す。
大企業はイノベーションを生める?
いわゆる“大企業病”をイノベーションの阻害要因に挙げる声も目立った。モノ作り系スタートアップを経営する高野慎太郎氏(Makership)は「スタートアップは大企業との連携を模索しているが、なかなか難しい」と自らの体験を元に心境を明かす。

これに対して大企業勤務のメンバーも、「スタートアップと組みたくても実績がないと信用力の観点からなかなか連携ができない」と角岡幹篤氏(富士通研究所)は話す。また、福井崇博氏(日本郵便)からは、「イノベーションは停滞しているという感じはしていないが、(大企業では)社内政治をうまく回す必要がある。また、何かアクションを起こそうとする人に対して“イノベーションごっこ”といった批判をする風潮が世間にもある」といった指摘があった。
一方で、大企業がベンチャーを買収したり、社内ファンドを作って投資したりするケースが相次いでいることについての意見もあった。福岡を拠点とするベンチャーキャピタリストの林龍平氏(ドーガン・ベータ)は「大企業がベンチャーをのびのび好きなようにやらせるかが今、試されている」と指摘した。
大企業に勤める若手有志団体「One Japan」を立ち上げたメンバーの1人、山本氏(NTT東日本)は、「若手を中心に硬直化した組織を変えようと動いている」と主張する。フリーランスの藤井友香氏(健康増進コンサルタント)からは「大企業になると新しいモノを生み出すためのリスクは大きいが、成功しようが失敗しようが早く行動するべき」との意見も飛び出した。