もっとも、「イノベーション」の定義が曖昧という指摘も多かった。

日本ではイノベーション=技術革新?

 「イノベーションを技術革新だと捉えるならば起こっている。一方、新しい価値の創造だと考えると、あまり起こせていないのでは」と語るのは、國府田遼氏(東芝デバイス&ストレージ)。定義によって見解が異なるという主張だ。近田侑吾氏(リンカーズ)は、「そもそもイノベーションとはどういうことか、定義はしっかり考える必要がある。私は、単純な技術革新ではなく、世の中に新しい“気付き”を与えることがイノベーションだと考えている」と話す。

 ゲーム会社を経営する佐藤類氏(サイバーステップ)も、「日本では、『イノベーション』は『(商品やサービスの)革新』という意味で使われる。一方、米国など英語圏では『手段』や『新しいアイデア』を指すことが多い」と見る。

 山本将裕氏(NTT東日本)も「技術革新などは日本でも起きている。ただ、それが世界に広がるかどうかで、『イノベーション』と定義されるか否かが変わってくるのではないか」と話す。

 一方、そもそも「日本のイノベーションは停滞している」という問い自体の意義に疑問を投げかける声もあった。

 「『イノベーション』を『新結合』と考えているので、あくまでも手段。最終的な目的となる課題解決が果たせるかが重要だ」(山下雄己氏、電通国際情報サービス)。「『イノベーション』という言葉にへきえきしている。あくまでイノベーションは『手段』であって『目的』ではないのだから、停滞していることを問題視する必要があるのだろうか」(木戸美帆氏、日産自動車)。 

 キックオフ会議では、イノベーションを阻害する要因として、日本人の国民性を指摘する声もあった。

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