利用者の認証は信頼できる、だから他と連携できる

ブロックチェーンを使うシステムは、情報管理フォーマットを共通化しやすいことが特徴です。このことから、今回の不動産情報管理システムを自社での活用にとどめず、他社とコンソーシアムを組んで今回のシステムを標準プラットフォームとして不動産業界で広く活用できるような企業連携を視野に入れています。

上田:どこまで連携を広げられるか、簡単なことではないと思っています。賃貸物件の管理は大企業だけでなく、地場の工務店さんが手掛けるところもあれば、オーナーさんが個人で運営しているところもあります。仮に、当社が賃貸物件をブロックチェーンに載せたシステムを軸にコンソーシアムを作ったとしても、日本国内の賃貸物件が全て載ってくるというのは、かなりハードルが高い話です。ただし、賃貸物件の量ではなく、質を担保できるシステムとして魅力を感じていただける不動産業者の方々は多いと考えています。

 当社を含め信頼できる企業・不動産屋さんが扱う一定水準以上の物件がこのシステムに全て載っているのであれば、借り手にとってとても大きな魅力になるはずです。さらに、登録されている賃貸物件の仕様や過去の改装等の情報が改ざんされない、信頼できる形で履歴として残っており、借り手はそのことを確認できるようになります。また、我々のような貸し手にとっては、信頼できる入居者情報をしっかり管理・共有できるのも大きな魅力です。賃貸物件に入居される利用者の本人確認はもちろん、家賃の支払い状況といった履歴も残っているので利用者の信用度も分かります。私たちがコンソーシアムを立ち上げようとしたとき、過去に参加企業の賃貸物件に入居されていた方であれば、入居希望者の本人認証ができること、信用度が共有できることに対し、魅力を感じていただける業者様は少なくないとみています。

利用者の本人認証が取れていて、さらに利用者の信用度も分かっており、短期に契約を完了できるというのであれば、部屋の借り方も変わっていきそうです。

上田:そこは、大きなポイントの1つになると思っています。契約の手順が簡単になれば、もっと柔軟性のある契約が可能です。これまで賃貸契約といえば、何枚も書面を交わすだけでなく、契約期間も2年といった年単位がほとんどでした。そうした部屋の借り方が、1週間だったり、数日だったり、いろいろとフレキシブルな形で可能になるでしょう。Webでホテルを予約するような手軽さで、物件を賃貸できるようになればと考えています。

不動産業界内のコンソーシアムにとどまらず、異業種のコンソーシアムとの連携も視野に入れています。どのようなことが可能になりますか。

上田:利用者にとっても、私たちのような企業にとっても、利便性は高まります。例えば銀行で口座開設を行う際に行った本人認証を賃貸契約の際にも共有できれば、何度も免許証や保険証を見せて本人確認を行う必要がなくなります。将来的には、部屋を借りる、銀行口座を作る、保険に入るといった様々な契約やサービスを、一つの本人認証で簡単に利用できるとようになれば、と考えています。

この記事は、日経BizGateに掲載したものの転載です(本稿の初出:2018年5月15日)。

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