そして、最後の3つ目。これが最も大きな問題になります。シリコンバレーのスタートアップ・エコシステムが、地理的にも人口的にも、とても限定的だという点です。

 現時点で、シリコンバレーが起業家精神を形にするのに最も適した場所だというのは間違いありません。世の中に何かしらの課題を感じ、その課題を解決したいという起業家たちが、今もここに集まってきます。

 しかし、世界を見渡せば、起業家精神を持つ人たちはもっとたくさんいます。そう考えると、実は投資を得られる起業家のタイプはある程度決まっているとも言えるんです。

 あそこで恩恵にあずかることのできる人物像を、ちょっとプロファイリングしてみましょう。スタンフォード大学の卒業生で、コンピューターサイエンスの学士号を持ち、年齢は22~25歳くらい。男性で、パロ・アルトから半径50マイル(約80キロメートル)以内に住んでいて…。条件に当てはまる人はごく少数ですよね。

 このエコシステムに属していないというだけで、支援を受けるチャンスを得られないなんて、どう考えてもよくない。

 私は、起業家精神を持つ世界中の人に、もっと多くのチャンスを手にしてほしいと考えています。そのためには、エコシステムから作り直さなければなりません。これらの問題に気付き始めた投資家は、すでに新しい投資の仕組みを作り始めています。

 私の問題意識はつまるところ、「良い会社と良い製品。世界をより素晴らしいものにするために、生み出すべきはどちらなのか?」という点なのです。より多くのイノベーションを生み出すためには、何が必要なのか。

 考え抜いて出した答えが、私がこれから始めようとしている新たな起業支援プロジェクトです。

インタビュー後編に続く

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