本社は日本から移さない

これで、研究開発型企業として世界で戦っていくのに規模としてはもう満足ですか。それとももっと規模を大きくした方がいいとお考えですか。

ウェバー:十分に競争力はあると思います。米国、日本、ヨーロッパ、新興国で十分な強みを持っており、地域的なバランスも良い。研究開発費も十分ですし、適切な戦略の下、優れた候補物質の研究開発が進んでいます。弱みはないと考えています。今回の買収によって、タケダはグローバルでのリーディングプレーヤーになれるのです。

海外の拠点が増えますし、シャイアーの本社があるアイルランド・ダブリンは租税回避地でもありますが、本社は日本から移しませんか。

ウェバー:ノー、ノー、ノー、ノー。本社は日本から動かしません。シャイアーの株式に関してはロンドン証券取引所の上場を廃止し、東京証券取引所とニューヨーク証券取引所に移管します。そして東京がプライマリー市場になります。グローバルのヘッドクオーターは東京です。会社名も「タケダ」のまま変わりません。ちょうど新しいグローバル本社を日本橋に竣工したばかりです。

銀行からの借り入れが3兆円ほどになります。どのように返済していくのですか。

ウェバー:三井住友銀行と三菱UFJ銀行の邦銀2行、米国J.P.モルガン・チェース銀行の計3銀行から調達します。ドル建てのビジネスを買収しようとしていますから、こういったことが必要です。そして長期借り入れに借り換えていきますので、より多くの金融機関が入ってくることになり、幅広い形での借り入れになっていきます。証券会社ですとか、ハイブリッドの株式、色々あります。重要なのは、純有利子負債/EBITDA倍率を中期的に2倍以下の水準にするということです。それを行うことよって投資適格格付が保てるということです。

買収打診の報道があって以来、株価が下がってしまいましたが、どのようにご覧になっていましたか。

ウェバー:株価が下がるのはもちろんうれしくはありません。買収の意向表明はしたけれど、根拠などを説明することができない難しい立場でした。ですから今後、説明できるようになれば、もっと納得感が得られるようになると思います。

 財務的な指標も非常に力強いものですから、株主への配当方針は維持します。EPS(1株利益)も増加します。より強い、グローバルに競争力のある株を持っていただけるということです。徐々にそのことは納得いただけると考えています。

シャイアーは稼ぐ力が強い会社として知られています。

ウェバー:それは、ビジネスを集約しているからです。売り上げの65%を米国で生み出し、収益性も高い。組織も非常にリーンである。そして、研究開発は希少疾患にフォーカスしており、その意味でも効率化されているということです。

タケダも学ぶところがある。

ウェバー:はい、非常にあります。統合されることによって素晴らしい効果が生み出されると思います。これによってタケダの改善も加速されると思います。

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