アイルランドの製薬大手シャイアーを約460億ポンド(約6兆8000億円)で買収することを発表した武田薬品工業のクリストフ・ウェバー社長が8日、日経ビジネスの単独取材に応じた。2014年にヘッドハンティングされる形で社長に就任。研究開発体制の見直しなど、事業構造改革を進めてきた。そんなウェバー氏が手掛けた日本企業最大の巨額M&A(合併・買収)。高揚感をにじませつつ、狙いや決意について、真正面から答えてくれた。

(聞き手本誌編集長 東昌樹、内海真希)

今のお気持ちは。

クリストフ・ウェバー氏(以下、ウェバー):もちろん良いです。ハッピーです。より色々な意図を明確にお話しすることができるようになりました。(シャイアーが株式を上場する英国ではM&Aの手続きに関して厳格なルールがあるため)これまでは意向を明確に開示できず、誤解されたり憶測が飛び交ったりし、少し大変でした。これから詳細を明確にできるので、非常に嬉しく思っています。

 今の段階でもとてもハッピーですが、私にとって最もうれしく思えるのは、恐らく3年後とか5年後だと思うんですよね。統合をちゃんと完遂し、驚異的な会社になり、周囲に認められたときに、真の幸せを感じるでしょうね。

なぜシャイアーを買収したのですか。

ウェバー:これまでもタケダは研究開発に焦点を当てた大胆な変革に取り組んできました。そして、それは、うまく行っています。ですから、こういったタイプの買収を絶対にしなければならないというわけではなかったのですけれど、(シャイアーの買収は)変革をさらに加速できる非常に良い機会だと捉えました。マストではないけれど、これを行えばもっと競争力のあるタケダになれる、と思ったのです。

ウェバーさんはかねて、M&Aが変革の中心ではなく、大学や他の企業とのパートナーシップ作りが重要とおっしゃっていました。そのスタンスは変わりませんか。

ウェバー:今だってM&Aを熱狂的にやろうとは思っていません。我々がビジネスを評価するときには非常に慎重にやっています。今回は大規模な買収ではありますが、合理的ですし、慎重にリスクを分析してきました。そのうえで、タケダの発展を遂げるために戦略的な良い機会だと考えたわけです。

買収する意思決定をするときに、ナーバスになることはなく、自信を持って行けましたか。

ウェバー:熟考しました。強い取締役会があることが良かったと思っています。取締役会でちゃんと責任を持って意思決定できた。取締役会には様々な役員がおり、社外の方が過半数を占めています。その取締役を納得させることが、買収に向けての良い第一歩だったと思っています。

すごい額の買収になりますが、最初に提案されたときは取締役会の全員がイエスというわけではなかったのでしょうか。

ウェバー:質問はたくさん出ました。何度も取締役会を開いて、それから最終決定に至ったわけです。タケダでは消化器疾患、神経精神疾患、オンコロジー(がん)に注力しており、シャイアーはこの領域で活発に研究開発を行っているので目を付けたわけです。大きな決断になりますので、色々なディスカッションは必要です。シナリオプランニングもしなければなりませんし、十分な分析をしてリスクを明確にし、長期的にタケダが成功できるのかということを考えるのが一番重要な措置でした。