資源やインフラでも事業経営は可能

ローソンは事業経営の分かりやすい事例ですが、例えば、資源事業では投資先の経営への関与をどう強めるのでしょうか。

垣内:資源についても、何か権益を買って、ただ持っておくということだけだと、何も生まれませんよね。そういう意味でも、よりいいものがあれば買いますが、相対的に劣後するものがあれば売っていきます。相場が悪くなってくると、いい権益が売りに出されることもあるでしょう。ただし、三菱商事全体では資源のポートフォリオが重かったので、資源のポートフォリオの中で優先順位を付けて、売るべきものがあれば売っていきます。

 こうしたポートフォリオの入れ替えも、経営の1つです。さらに、プロジェクトのコストを下げていくことも、十分に経営行為をしているわけです。関連会社には三菱商事から派遣されている人もいます。資源事業でも、最終的に事業経営を強化していくことは可能だと思います。

 インフラ事業についても、同じです。例えば、インフラ事業では特に空港の経営に力を入れていきます。プロジェクトに参加する企業のコーディネーションをするだけではなく、空港そのものの運営・経営に踏み込んでいければ、非資源と同じように事業経営を推進することになると思います。

 社員が経営者として成長していけば、どこかで事業領域が陳腐化しても、他の事業にシフトできるようになります。経営と言う観点で高みに到達する人材が増えれば、事業の組み替えもよりスムーズに進むはずです。

生活産業グループでは、そのようなことを実践するために、取り扱う商材別の組織から、川上、川中、川下といった具合に、バリューチェーンにおける機能別の組織に変えました。他の分野においても、組織再編まで踏み込んでいく考えはありますか。

垣内:現段階ではそこまでのことを考えていません。ただし、三菱商事に求められている役割は、三菱商事が調達する商品そのものというよりは、むしろ、三菱商事が経営に関与することで事業や企業の価値を高めることでしょう。組織を一気に変えなくても、そうした方向にカジを切ることは可能だと考えています。

 自分たちがすべきことは何なのか。その問いを深掘りすると、自ずとやるべきことは見えてきます。

ポートフォリオのリバランス、3~4年で実現

資源事業については、資源メジャーなどのパートナーが事業を主導していたというのが実態だと思います。事業経営に踏み込んでいくということは、投資する場合にはより多くの持ち分をもって主導権を握っていくということでしょうか。

垣内:そういうことではありません。その話になると、非資源とは違う考えをしないといけません。すべてを捨てて三菱商事が資源会社になるのならば、それでもいいでしょうが、三菱商事が今、そういうステージにあるとは考えていません。

事業経営を担う人材は、三菱商事の中に十分いると思いますか。

垣内:どんどん養成していかなければなりません。連結会社の数は、子会社と持ち分法適用会社で1226社。そこに、社長やCFO(最高財務責任者)など、経営を担う三菱商事の人材を1000人以上、派遣しています。つまり、若い時から、経営者として訓練できる場が、既にたくさんある。それを活用して、意図的に人材をローテーションするなど、もっと戦略的に人材を育てていくつもりです。

 新入社員で三菱商事に入って60才で辞めると考えると、38年間働くことになります。前半の18年が訓練期間だとすれば、残りの20年を経営者としてバリバリ働いてもらう。そういうことを考えています。

新たな中期経営計画を5月に発表しますが、社長して取り組むべき課題で、最も高い優先順位は何でしょうか。

垣内:もう、腹をくくっていますよ。ポートフォリオのリバランスです。先ほど、資源と非資源を比べると、資源の方が少し重すぎたという話をしました。これを適正化していきます。そして、バランスを取るために、非資源分野で成長エンジンを作っていく。それが取り組むべき喫緊の課題です。

リバランスにはどれくらいかかりますか。

垣内:3~4年で実現したいですね。