ローソンは生活インフラになると確信、経営に参画する

事業経営という視点では、垣内社長の出身母体である生活産業グループでの取り組みが象徴的です。その1つがコンビニエンスストア大手のローソンではないでしょうか。昨年3月に出資比率を32%から33.4%に引き上げていますね。税法上のメリットを享受するというのが目的だそうですが、株主総会において重要議案で拒否権を発動できるようになりました。今年6月には、三菱商事出身の竹増貞信副社長が社長に昇格します。三菱商事は今後、ローソンの経営にどのように関わっていきますか。

垣内:昔のコンビニは物を売る、近所の人たちに物を売っての利便性を提供するということが、基本的な価値でした。しかし、最近では店舗数が増えて、地域を「面」で捉えることができるようになり、公共的な側面を従来以上に担うようになっています。公共料金の支払いからATM、宅配の受け取り、ヘルスケア関連など、様々なサービスを提供しています。そういう複雑系の話になってくると、三菱商事の経営資源がこれまで以上に生きてきます。

 そのため、ぜひ、ローソンと一体になって、今まで以上に生活のためのインフラを整備していきたいと考えています。ローソンの経営に参画をしていく方が、よりスピードを上げて事業を展開していけるはずです。ローソン側もそれを望んでいますし、我々が株主としての責務を果たすという意味でも、全面的にサポートしていきたい。

1年半ほど前の取材では、「今はアクセルを踏むタイミングではない」というような趣旨のことをおっしゃっていました。流通業界でナンバーワンであり続けた企業は歴史的にはないので、攻めるタイミングを待っているような印象を受けました。なぜ今、コンビニ経営にアクセルを踏むのでしょうか。

垣内:先ほどお話したように、三菱商事として、コンビニが生活のインフラになるということを確信できるようになったということです。日本全体を見渡せば、人口減少が進む一方で首都圏に人口が集中しています。いびつな構造ですよね。「地方創生」という言葉があるように、地方も発展していかないと日本全体が立ち行かなくなります。三菱商事も、地方を活性化することを積極的にサポートしていきたい。その意味で、ローソンは重要だと考えています。

 ローソンはこれまでも、地域の有力スーパーと連携するなど、中央主導というよりも地域の独自性を重視してきました。何でも安い物を全国一律に展開しようという方向性はありません。そういう意味でも、ローソンが生活のインフラとして地域の活性化をサポートできるということに確信を持ったということです。

規模を追うことに何の興味もない

「規模」の面では、ファミリーマートはユニーグループ・ホールディングスと経営統合することで傘下のサークルKサンクスを取り込み、セブン―イレブン・ジャパンに匹敵する店舗網を持つことになります。これによってローソンは、店舗数では3位の地位が確定し、規模では確実に負けます。

垣内:全然そんなことは気にしていません。規模を得てメーカーに対して商品を安く売ってほしいと言うだけでしょう。そのようなことに、何の興味もありません。規模を求めようと思ったら、すぐにでもできますから。

「すぐにでもできる」とはどういう意味ですか。買収されていないコンビニチェーンをかき集めても、2位に及ばないのではないでしょうか。

垣内:(食品卸最大手の)三菱食品もありますし、三菱商事と関係が近いスーパーも山ほどありますから。量を集めてメーカーに安く買わせてほしいとお願いしようと思ったら、明日にでもできます。

 しかし、そのようなことは馬鹿げていますよ。何の解決にもなりません。ローソンから見たら、そういう力がほしいと思っているかもしれませんが。いずれにしても、三菱商事が協力すれば、そんなことはわけもなくできます。

 しかし、そこには興味はありません。

むしろ三菱商事が関わる意味は、量より質だと。

垣内:そうですね。

 出資や人材を派遣しているスーパーなどと連携していくのも、1つの手かと思いますね。