起き続けていると、色々な情報が目に飛び込んでくるでしょう。株価とか。

糸井:感じ過ぎないようにはしていますね。上場直後は「糸井は株価をひっきりなしに見ている」と噂されたんですが、ちっとも見ないですね。今は、売り出しのタイミングでまとめて買った人が売っている時期ですから。将来のどこかで株価を見て、「僕らの事業が理解されてきたな」と感じてみたいですね。

多様な上場企業のモデルとして責任を感じる

どんな人に株を持ってもらいたいですか。

糸井:勝手なことは承知していますが、僕が思う理想の株主は「親しい知人」です。同じ目線で航路を進み、時折うなずき合える関係。常に励ましてくれるだけでなく、親身になって批判してくれる。これまで様々な人に支えられてきたので、今後もそういう人と航海したいと思います。

収益や成長だけを重視する株主ばかりだと、市場が偏ってしまう。もう少し多様性があった方が、日本にとってもプラスだと思います。

糸井:ほぼ日は、そのモデルなのだと思います。僕はちょっとだけ責任を感じています。上場に至るまでのハードルの高さを語る人たちの頭の中にも、上場企業はこうあるべきだという固定観念があったのかもしれません。そのような画一的な考えの下では、玄人は得をするけれど、素人は近づけなくなってしまう。僕は素人なので、「せっかく素人なんだから」という見方をしてくれる人には励まされました。自分たちが上場したことで、変わっていく第一歩が始まったんじゃないかな。

糸井さんにとって、次の挑戦は何でしょうか。

糸井:ウェブサイトの「ほぼ日」開設から20年。正直言って、もう古くなっていると思います。ビジネスモデルであるかさえも分からなかった時代から、最近はオウンドメディアとか、プラットフォーム事業とか、コンテンツビジネスとか呼ばれるようになった。それはちょっと危険な兆候です。

 大掛かりな事業も含めて、いろいろ準備を進めています。小さなことでは、もうすぐ学校も始めますよ。

 働き方改革が進むと、普通の勤め人は会社にいられなくなります。かといって早く家に帰っても夫婦げんかになるし、飲み屋通いも次第に飽きる。そうした人が何をしたいのか。僕は勉強だと思います。

 ところが今は、英会話やスポーツジムぐらいしか選択肢がありません。そこで考えているのが、シェイクスピアや万葉集など古典を学べる学校です。歌舞伎役者がこぞって学びに来るような、刺激に満ちた本格派なエンターテインメントにできるかもしれません。私も生徒の一人として学びたいくらいです。

もうかりますかね。

糸井:偉そうに話すのは実績を出してからにしろと、投資家からしかられるかもしれません。でも投資というのは、結果が出る前に手掛けてこそ。僕としては、「今に見ておれ」という気分で燃えています。