日米首脳会談後の4月20日、金正恩委員長が、核とミサイルの実験を今後は行なわないと明言しました。この発言をどう評価しますか。

前嶋:来るべき米朝首脳会談への一つのステップだと思います。ただ注意しないといけないのは、戦争を回避する入り口に立ったのですが、非核化、核兵器の破棄には言及していないことです。

(写真:加藤 康)
 

 新たな核実験をしないのは「核実験はすでに十分に終わった」という意味にも取れます。完成したとするなら核兵器はそれだけ捨てにくい。日米が要求している「完全で検証可能な不可逆な非核化」までの道筋はまだ遠いということになります。

 

 安易な合意はせず、非核化できない場合には交渉の席を立つことを辞さないのがトランプ氏の安全保障チームの方向性とみえますので、米朝首脳会談後には緊張が高まるシナリオもあり得ます。

安全保障と貿易のそれぞれについてお話しを伺いました。総合して採点すると、何点が付けられますか。

前嶋:70点というところでしょうか。合格です。

それでもシンゾウは特別

前嶋:ただし、これから中間選挙が近づくにつれて、特に貿易面で米国が無理難題を言ってくる可能性があります。これが残るため、30点分を減点します。また、今後の貿易関連の交渉次第ではこの点数はさらに低くなります。日米関係は今がピークなのかもしれません。

 面白いことに、トランプ大統領は包括的なFTA(自由貿易協定)を日本に求めたことがありません。

え、そうなのですか。

前嶋:はい。「2カ国協議」が好ましいとは言います。しかし「包括的」とは言わない。なので、支持者の動向を見ながら、個別に要求を出してくるのでしょう。

米国は日本との関係を、首脳同士の蜜月を演出するモードから実利を求めるモードにチェンジしたとの見方があります。これをどう思いますか。

前嶋:あるかもしれません。ただ、それでも、安倍首相との関係は別格だと思います。他の首脳とゴルフすることなどありませんから。一緒に遊びたい関係というのは重要です。

 日本側が乗り気でない中、今回もトランプ大統領がゴルフを強く望んだそうです。

ポンペオ訪朝を日本は知っていたのか

蜜月に関連して伺います。今回の日米首脳会談の前にマイク・ポンペオCIA(米中央情報局)長官が訪朝して金正恩委員長と会談したことが明らかになりました。日本側はこの事実を押さえていたのでしょうか。

前嶋:そこは気になるところですよね。知っていたなら、日米は一体で動いていたことになります。北朝鮮問題を本当に動かしていたのは日本だったということになるのかもしれません。一方、知らなかったとしたら、新たなニクソンショック*です。

*:1971年7月15日に、ニクソン米大統領(当時)が突如として訪中を発表した。これが米中国交正常化の契機に。日本は蚊帳の外に置かれ、大きなショックを受けた。

 この点の検証は、政治学者が将来、論文で取り組む材料になるでしょうね。

 私は、ポンペオ氏の訪朝を日本側は知っていたと思います。安倍首相とトランプ大統領の電話会談は20回を超えています。なので、ぼやかした言い方をしたかもしれませんが、何かしらの話はしたことでしょう。