「間違えないように」という記述に表れる性格とは

諏訪:これはまた別の子のノートですが、この子も性格がよく出ています。「間違えないように十分に気をつけることが必要」と書いています。彼はこういう記述がとても多かった。「不良を出さないように」とか「ミスのないように」とか。とにかく慎重なんです。冒険したくないタイプ。字を見ても慎重さが出ています。細かい感じで。

確かに。女の子が書く字のように整っていてきれいです。こういうきちんとしたところ、慎重なところは長所にもなりますけど、間違えたくない、失敗したくないという思いが強すぎると、新しいことに挑戦しにくくなってしまうかもしれませんね。

諏訪:そう。慎重なのは長所でもあるけれど、チャレンジしないと成長しないから、ぜひチャレンジ精神をプラスしてほしいんです。ある日のノートには私から「考えながらつくることは重要ですが、良い製品をお客様がほしいタイミングでスピーディーに提供することが我々の目的ですね」というコメントを添えて返しました。私はスピードを求めているということを伝えたのです。現場でもしつこく「不良を出してもいいから切削速度上げてごらん」とハッパをかけてきました。

こういう社員の場合、仕事ぶりだけを見ると「手が遅い」「作業がなかなか進まない」と否定的な見方をしかねないところです。交換日記で「慎重」という本質的な性格を見抜き、会社として、そこを補えるように手を貸しているのが素晴らしいですね。

諏訪:うちの会社は生産管理システムを導入しているので、誰が、どの機械をどれぐらいの時間動かしているか、何個の製品を仕上げているかというデータを取ることができます。こういう慎重な性格の子の場合、作業スピードが遅くなるので実績数字は伸びません。でも能力がないというのとは違う。その子はその子なりに一生懸命やっています。性格的に足りないところを伸ばすようにすれば、もっともっと成長できる可能性があります。交換日記のノートは、社員の素の性質を見て、一人ひとりにカスタマイズした教育を考える材料になるのです。

 彼にはいまだに「やれやれ」ってけしかけていますよ。彼も自分は思いきりがやや足りず、スピードを身につけないといけないとわかっているから、「社長、こんなスピードアップの治具をつくりました」って言ってきます。

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