今後は台北の台湾桃園国際空港を拠点化すると発表しました。
石井:実は今、成田~台北線のお客様の7割が台湾の方で、多い時にはこれが8割まで増えます。そこで台湾に、現地のお客様が電話で問い合わせができるようなコールセンターを設けました。そしてこれからは、台湾からさらに東南アジアへと飛んでいこうと思っています。これは新しい試みですね。
おそらく、台湾から東南アジアの都市にバニラエアが飛ぶようになると、利用するのは台湾のお客様が中心になるでしょう。ただ、路線を拡充すればおそらく、日本人でも台湾経由で東南アジアに向かうような需要が出てくるはずです。ある程度、競争力のある運賃を提示することができれば、日本のお客様の支持も得られるだろうと期待しています。
ライバルのLCCでも台湾路線は好調だと聞きます。
石井:台湾線はこの数年で急速に競争が激しくなりました。タイガーエア台湾というLCCも日本に飛んできていますし、トランスアジア航空が設立した台湾初のLCC、Vエアも週3便、羽田空港に乗り入れるようになりました。そういう意味では、東京~台北間の競争が一気に激しくなりました。
競争が激しくなる中、バニラエアの強みは何でしょう。
石井:1つはサイト上での航空券の購入のしやすさにあります。他のLCCならば、航空券を予約するまでに4~5画面くらいかかりますが、バニラエアは3画面で予約が終わる。今後はさらにバージョンアップして使いやすくするつもりです。
また便を乗り継いでも、1度で航空券を購入できる工夫もあります。バニラの場合、北海道のお客様が札幌から成田を経由して台北に飛ぶ場合にも、航空券の予約や購入は1度で済ませられます。これまで乗り継ぎは「お客様がご自分でどうぞ」というスタンスでしたが、よりお客様に使いやすいよう改良しました。
2016年から、バニラエアではアイデンティティをどのように具体的サービスに落としこむかという議論を重ねてきています。その中で我々は3つの目標を据えました。

1つ目は、LCCの運航品質でナンバーワンになること。運航品質には定時性や就航率、サービスも含まれます。まずはこれでナンバーワンになる。2つ目の目標は規模にあります。成田空港発のLCCで規模ナンバーワンになること。バニラエアは現在8機体制で、同じく成田を拠点とするジェットスター・ジャパンの20機体制と比べると見劣りします。この先、成田発着の路線を増やしていきますが、規模でナンバーワンになるには、やはり適正な利益を上げるオペレーションをしないと長続きはしません。ですから少なくとも、営業利益率10%くらいは達成しなくてはなりません。幸い、2015年度は営業利益がしっかり出ますし、少しずつ目標に近づいていっています。
3つ目の目標がLCCを進化させることです。これまで我々は、2地点間を同一機材で高頻度に飛ばすという、LCCの基本的なビジネスモデルに従って事業を展開してきました。ただ、実際に飛行機を飛ばしてみると、新しい需要も見えてきます。その1つが、乗り継ぎのお客様が多いということです。
札幌から成田を経由して香港や台湾に向かう日本人や、その逆のルートで海外から札幌に向かう外国人観光客が多いのです。国内線と国際線をたくみに乗り継いで、LCCをうまく活用しているわけです。こうした需要に応えるために、先ほど説明したように航空券をまとめて購入できるようにしたり、航空便のスケジュールを乗り継ぎに対応できるように変更したりしています。
ほかのLCCと組んでネットワークを拡充
LCCを進化させて、乗り継ぎニーズにも対応する、と。
石井:乗り継ぎに対応するだけではありません。これから先の成長を考えると、自分たちの路線網だけでは限界があると考えています。ですから今後はある程度、ほかのLCCと協業して互いに路線ネットワークを補完し合っていきたいと思っています。つまり、LCC同士が協力をして、ネットワークを拡充させるのです。
大手航空会社が実施している共同運航のようなものでしょうか。
石井:共同運航ほど深い関係ではなくても、互いに航空券を売り合うことはできると思います。我々が飛んでいない路線は協業先LCCの航空券を売り、逆に協業先LCCも、日本国内の路線ではバニラエアの航空券を売ってもらう。エアアジアやジェットスターは、グループで路線網を拡充させていますからね。我々もいい相手先がいれば、2016年には協力していきたいと思っています。
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