地球温暖化は世界で大きな問題です。昨年にはパリ協定も採択されました。カルパースは温暖化問題に対処するため、投資先企業のカーボンフットプリントを測定して投資判断に生かしていると聞きました。
メイサー:カルパースは国連PRIに署名しています。PRIは2014年に、主要な機関投資家とともに「モントリオール炭素公約」というイニシアティブを立ち上げました。これはPRI署名の投資家に対し、投資先企業のカーボンフットプリントを調べて開示することを求めるものです。カルパースも署名しました。
このイニシアティブの下で、投資先1万1000社のカーボンフットプリントを計算したところ、わずか80社で全体の50%を占めることが分かりました。驚くべきことでした。化石燃料を生産する企業と消費する企業など6セクターが入っていました。この結果を踏まえて、対話すべき企業に焦点を当てられるようになりました。小売業者などの非化石燃料企業とも積極的にエンゲージをしています。
日本の株価が低迷していますが、カルパースは日本株をどう見ていますか。
メイサー:株式投資のうち最も多いのが米国ですが、2番目は日本です。今年1月末時点で日本株への投資額は126億ドルと全体の4.5%に相当しています。日本はカルパースにとって大きな投資先です。
日本では2014年に金融庁が責任ある機関投資家の諸原則スチュワードシップ・コードを策定しました。昨年には上場企業にコーポレートガバナンス・コードが適用されました。これらの導入を私たちは高く評価しています。
カルパースは毎年、積極的に対話する企業を10社選んでいます。過去5年間は、業績の悪い企業やガバナンスの問題を抱えている企業でした。しかし昨年はテーマを変え、全面的に日本に注目しました。そして日本企業とエンゲージメントを行いました。日本企業は、ESG投資が増えているとまだ実感していないようですが、動きは今まさに始まったばかりです。
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