北朝鮮が発射した新型ICBM「火星15号」(提供:KCNA/UPI/アフロ)

 日本の外交政策に関する政策提言を実施している外交政策センターが、朝鮮半島有事に関するシナリオを設定し、「ポリティコ・ミリタリー・ゲーム」を実施した。黄海に浮かぶ韓国の離島への砲撃を皮切りに、サイバー攻撃、ソウルへの砲撃と事態はエスカレートする。日本も事態の圏外にとどまることはできない。飛行場の管制に異常が発生。弾道ミサイルが領海に打ち込まれる。そして、ついに核搭載ミサイルが……。このゲームの意義と展開、それが示唆する日本の将来を同センターの川上高司理事長に聞いた。

(聞き手 森 永輔)

川上さんが主催する外交政策センターで「ポリティコ・ミリタリー・ゲーム」(以下、「ポリミリ」と略す)を実施したそうですね。これは、どういうものですか。

川上:政治や軍事の世界で現実に起こる可能性があるシナリオを想定し、それに対して政府や軍がどのようなレスポンスを取り得るのか、を政府OBや国際政治学者、メディアの外交・安全保障担当などの専門家が集まって議論するものです。米国の政府やシンクタンクで頻繁に行われています。

川上 高司(かわかみ・たかし)氏
拓殖大学教授
1955年熊本県生まれ。大阪大学博士(国際公共政策)。フレッチャースクール外交政策研究所研究員、世界平和研究所研究員、防衛庁防衛研究所主任研究官、北陸大学法学部教授、ランド研究所客員研究員などを経て現職。この間、ジョージタウン大学大学院留学。(写真:大槻純一)

 1月20日に実施したポリミリでは、米国が北朝鮮に対し先制攻撃をするかどうか、北朝鮮が日本を核兵器で攻撃した場合に周辺国はどのような対応を取るかを考えるためのシナリオを作り、約50人の専門家が集まって議論しました。シナリオはフェーズ1~3と順に進む3つを用意。

 専門家は日本、米国、中国、韓国のグループに分かれ、オペレーションルームから提示される各シナリオに対するレスポンスを議論しました。各グループの中でも役割を分担。例えば米国チームなら、大統領、主席補佐官、国務長官、国防長官といった具合。大統領役はトランプ大統領になったつもりでレスポンスを考える。

 その後、全グループが集まる全体会合で、各グループのレスポンスを発表し、議論を深めました。

北朝鮮が韓国の離島を砲撃

シナリオのフェーズ1はどのようなものですか。

川上:次のような展開です。この環境下で、①各国政府が達成すべき優先目標と②各国政府が取り得る軍事行動を考えてもらいました。

  • 平昌オリンピック・パラリンピックが終わった後、米韓軍が合同軍事演習「フォールイーグル」を開始。
  • これに反発した北朝鮮が4月4日、黄海上の離島ペンニョンド(韓国領)を砲撃。
  • 同島に駐屯していた韓国海兵隊第6旅団の隊員26人と島民7人が死亡。
  • 同時に、日本と韓国に対する大規模サイバー攻撃が発生。主要空港や病院が機能麻痺に陥った。
  • 翌4月5日、韓国軍は、北朝鮮の砲撃陣地をF-15K戦闘機と短距離弾道ミサイル玄武-2Bで攻撃し破壊した。

 北朝鮮から見れば、オリンピック期間中に高まった宥和ムードを米韓がぶち壊したようにみえます。日韓へのサイバー攻撃は、両国と米国との離間を図る策として設定しました。日韓が怒って米国に協力を要請しても、犯人が明確にならないので、米国は対応できないでしょうから。