つまり、スタートアップ志望者たちのグループか?

ユニス:グレアムはファンネルの上部がまったくシステム化されていないことに気づいた。数千もの有望なアイデアがあっても、伝統的な仕組みでは、実際に投資を受けられるのはほんのひと握りだ。グーグルの創業者が起業にあたってベンチャー投資を受けることができたのは、スタンフォード大学の指導教官だったデビッド・チェリトン教授自身が成功した起業家で、強力なコネがあったからだ。起業家がファンネルに入れるかどうかはそうした偶然に左右されていた。グレアムはファンネルの上部をシステム化することを考えた。

講演するYコンビネーターCOO、カサー・ユニス氏

どういうことだろう?

ユニス:有望なアイデアを持つ人材を探し出し、伝統的なベンチャーキャピタルが投資できる規模にまで育てるシステムが必要だと考えた。起業志望者はYCの応募フォームに記入しオンラインで申し込む。

 われわれは有望そうなチームを面接し、採否を決定する。グレアムやほかのパートナーの努力といくつかの幸運も重なって、YCは有力なインキュベーターとして知られるようになった。すると良いアイデアをもった良い人材が、YCのクラスに殺到するようになった。

 YCが「ニワトリとタマゴ」問題を解決したのは、従来とはまったく違う新しいシステムを創造することによってだったようだ。VEC(一般財団法人ベンチャーエンタープライズセンター)が発表したレポートによれば、昨年の日本の2016年第3四半期のベンチャーファンド組成金額は876億円だった。金額は増加傾向だが、アメリカと比べるとまだ非常に少ない。2015年のアメリカのベンチャービジネスは日本の約50倍の規模があったという。

 YCのようなインキュベーターはエコシステムの入り口で有望なチームを選別し、育成する。チームが成功し始めればアンドリーセン・ホロウィッツのようなベンチャーキャピタルが、スピーディーに巨額の資金を提供して成長をバックアップする。こうした組織が新しい企業を生む「エコシステム」を作っていることが納得できた。

日本の大学でもいいから広範囲な知識を身につけよ

起業を志望する日本の若者にも、シリコンバレーに行くことを勧めるか?

ユニス:起業自体は世界のどこにいてもできる。ことにソフトウェアのように国境が大きな意味を持たないプロダクトの場合は特にそうだ。しかし、シリコンバレーに来ることは起業を成功させるために非常に有利だろう。