今の残業時間は?

岩崎:ほとんどが月10時間を切っています。1人、30時間の人がいますね。20時間だと6時半に帰っている感じですが、それでも上位5人には入りますから結構うるさく言います。

 毎月、仕事の棚卸しをして、残業が多い人を洗い出して理由を必ず突き止めるんです。一時的な要因ならいいですが、慢性的になってきたら必ず解決する。派遣社員を入れたり、仕事の一部をほかの部署に移したり。

 事務作業はシステム化します。8時間かかったエクセル作業が2時間で終わるようになりました。

 社内資料は作り込み禁止。色を付けたり表の見栄えを良くしたりしても、時間がかかるだけです。どんな会議も基本的には30分。次の人が部屋を待っているから解散ですね。

社員は答えを知っている

すごい徹底ぶりですね。

岩崎:私はとにかく、残業して事務作業を人手でやるという発想が嫌なんです。アウトソーシング代が200万円で、社員の残業代は100万円かもしれません。でも、それで社員が疲れるなら、会社が赤字にならないのであればアウトソーシングしたい。1億円と100万円だったら別かもしれませんが。

 社員には生産性が高いことだけをしてほしいんです。新しいアイデアを考えたり、新製品を企画したり。実際、それでヒット製品が生まれています。

 チマチマと既存事業を伸ばすために長時間頑張ったところで、せいぜいが前年比110~120%。ですが、この仕事のやり方なら、生まれた新しい製品やサービスが、明日の100億円企業を作るかもしれないですから。

ここまで聞いても、残業なしで売り上げを伸ばすのは、簡単な話じゃないと思う読者はいると思うんです。

岩崎:分かります。私も昔は超ブラック企業の取締役でしたから。

 やはり、社員との話し合いですね。残業をやめたいけど、売り上げが落ちたら困る。その時どうするかを社員と話し合う。社員も、売り上げが落ちたら困ると思っているんです。社員は答えを知っているんです。残業して疲れるのは自分たちなんですから。

どうしたら性別に関係なくキャリアを形成できる世の中になるのでしょうか。

岩崎:私の理想は月水金はパパが遅くて、火木はママが遅いという感じですね。パパの協力があれば、ママも残業がある会社でやっていけるんです。

 色々な会社の社長さんが、女性活用をおっしゃいます。でも「皆さんが考えているのは、20代のことですよね」と思っちゃう時があるんです。

 全員、結婚して3人子供を産んで、定年まで勤めるかもしれない。女性が優秀だと思ってくださればくださるほど、やっぱり生涯を通して女性がやりがいをもって働ける環境を作ってほしいと思うんです。

 労働力が減ってきている今はチャンスです。女性を本気で活用しようという企業には、生涯やりがいをもって働きたい優秀な女性が集まりますよ。

傍白
 とにかく元気で、明るい人です。かつて勤めていた会社はブラック企業。創業したランクアップも「暗黒時代」を経験しています。そんな暗い時代のことも笑って話せる強さを持ち合わせています。会社の目標は「女性が幸せに生きる社会を作ること」。「お母さんが朝から元気だと家の中も明るくなりますよね」と岩崎さん。その通りです。
 1カ月2万円のスポーツクラブ助成金や、無農薬野菜の支給、TOEIC受験料全額負担など、ワークライフバランスを支援する仕組みも充実しています。しかし、新卒社員には新規事業を立ち上げるように言うなど、仕事にチャレンジさせることも忘れません。もっとも、午後5時に帰る仕組み自体、立派な挑戦ですね。

(日経ビジネス2015年9月7日号より転載)