残業少ないのに「暗黒時代」

 迷ったのですが、私も5時で帰る暮らしが楽しすぎたんです。ですので「業績が悪くなったら5時半に戻すよ」ということで、特別に延長しました。

 その時に「5時ピタ」文化が生まれました。今は、社員からすると30分早く帰らないと損した気分になるみたいです。私も大丈夫かなと思ったんですが、やってみたら売上高が伸びました。

震災以前も、十分帰宅時間は早かったですよね。

岩崎:でも、会社の雰囲気は暗かったんです。体調不良者が出たりして、「暗黒時代」って呼んでるほどです。

 会社は残業も多くないし、給料だって安すぎるわけじゃない。どうして社員はこんなに文句ばかり言うのかと思っていたんです。

 2011年に全社で2泊3日の社員研修を実施しました。管理職と現場で2班に分けたんですが、3日目に現場が全員泣きだしたんです。

 「あなたたちが会社にできること」というテーマに「会社が私達を認めてくれないのに、そんなの全然考えられない」と。研修の先生から「岩崎さん、社員に謝ってください」と電話がかかってきて、飛んで行って謝りました。

 規模が大きくなってきてからも、気心知れた人と創業した感覚でずっとやっていたので、私がワンマンになっていたんですね。社員が作業員になっていた。

 お客様のためにということだけは徹底していたんですが、社員の仕事をきちんと認めてあげられていなかったんです。ショック以上に、申し訳ない気持ちでいっぱいでした。

辞める社員はいなかった?

岩崎:あまりいなかったんです。プチ公務員みたいな感じで、早く帰れるし辞めにくいんですよ。「別れたいけど別れられない彼氏みたい」って表現している社員がいました(笑)。

 そんな時、ある人に経営者の価値観を決めろと言われたんです。自分たちもぶれなくなるし、社員も会社の価値観に賛同できるかどうかが分かると。

 その価値観が「挑戦」でした。古いものと新しいもの、どっちを選びますかとなったら、新しい方に行くよと。私達はベンチャーだし、会社は変化しないと生き残れない。

会社と社員のベクトルが一致したわけですね。

岩崎:はい。迷ったら新しい方に行く。最初はぽかんという感じでしたが、今では浸透して、社員が自ら色々なことをやってみようという風土になっています。

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