名作、「北大事件」

:その時期をほとんど働いていないというのは、すさまじいことですよ。小学校のときはエースだったみたいな人が、中学で肩を壊して、高校、大学と野球をやらないでプロに入った、みたいなもんだから。

例外的な体験ということで、物書きにとっては大事なネタになりますね。

小田嶋:いや、やっぱり高校時代に、投げやりな価値観を身に付けちゃったから。岡も俺もね。だから、その先にあった必然の成り行きという気もしていますけどね。

:同窓会で「敗者復活」とか言われるのは、高校時代に投げやりだったということもあるけど、現役時代に、スキーをするがために北大を受けて落ちたとか、意味不明な行動をしたことが、いまだに根底にある。

北大事件、ありましたね。

(お読みになりたい方はこちら。連載の中でも名作だと思います:担当Y)

:それで、浪人した次の年に、僕は京大を第一志望で受けたでしょう。でも、実は高校時代の志望校は東工大でもあったの。

え。北大に京大に東工大って、なんかめちゃくちゃじゃないですか。

:このキャンパスには初めて来たんだけど、「東京工業大学」という名前に対しては、僕は親近感があるんですよね。だって、模試の志望校欄に「東工大」って、何度か書いたから、わりと親しんでいるの。

……それだけの経験で?

:そうそう。

最終的には受けてもいないのに?

小田嶋:だって岡は、最後の方まで「オレは理系だ」って言っていたものね。たぶん我々のいたころの小石川は、都立で東工大に行く学生が一番多い学校だった。

:伝統的に理系に強いからね。

小田嶋:我々の時代の前から、小石川からは東工大に行くんだ、というルートは何となくあったんだよ。

:東大の理系に行くほど勉強はしないけど、でも東工大には行っておこう、みたいなね。

また語弊のある言い方を……。

:でもさ、物理とか化学とか、どんどん分からなくなっていくし、じゃあ、微分積分ができるかというと、それも分かりませんになっていく。それで「理系はやめよう」と、心を改めると、「文転」と言われて、周囲からちょっと格下に見られちゃう。そこで東大文系に行くならまだしも、僕、早稲田の文系に行っちゃったから(笑)。

聞きようによっては、嫌味ですけど。

小田嶋:まあ、すごく理系偏重の学校で、しかも国立志向という雰囲気だったから、早稲田の文系なんかは、そういうふうに見られていましたね。

ところで今回の「NBOファイナル編」のテーマは「2018年を振り返る」です。そちらを事前に設定して、お二人に伝えていました。

:そうね。じゃあ、そろそろ本題に入ろうか。

小田嶋:そろそろ雑談を切り上げないとね。

って、本題に入るまでに、全4回のうち、すでに2回分を使ってしまいました。

:まあ、プロローグということで、いいんじゃないの。

 ……(いくない)

小田嶋:華麗なるプロローグ、とか見出しに付けてみたら?

(ということで、長いプロローグの後、第3回に続きます。)

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