おっさん入院患者ほど迷惑な存在はない

小田嶋:町内会で、そういうオヤジが続出して、元経理部長と元営業部長が戦うという不毛な展開になって、みんなが迷惑しているという話を聞きますね。おっさんって本当につぶしが利かないのよ。

そうなんですね。

小田嶋:これは入院してみれば、よく分かる。実際、俺が入院中に痛感したのは、おっさんの入院しているやつほど迷惑なやつはいない、ということだった。

:やっぱりそうだったか?

小田嶋:おばさんやおばあさんは、患者同士でも看護師さんとでも、すぐ友達になって、お見舞いのお菓子をみんなで分けたりして、なごやかにやっている。でも、おっさんは孤立しているの。

:ナースさんの中には、患者にため口で話しがちな人もいるじゃない?

小田嶋:いるいる。おっさんは、それが耐えられない。自分の娘ほどの人に、「〇〇さん、お薬、のんだぁ?」なんて、ため口でいわれると……。

:「なんだ、君は(怒)」になる。

小田嶋:俺は本部長だったんだ、って。

:ぎりぎりのところで役員になれなかったけど(笑)。

小田嶋:部長とか本部長とかの意識でずっとやって、やられてきた人たちだから、病院なんかで平等に扱われると、格落ちにされた感じになっちゃうんだよね。

それについてはおじさんたちに同情します。ということは、話を戻すと、再雇用は社会のためにもなっているんじゃないですかね。

:おっさんたちを、会社がまとめて引き受けるというのはね、確かにその側面はある。

小田嶋:災害時の避難所でも、孤立するおじさんをよそに、おばさんたちはコミュニティーを自然につくって、食べ物を分け合ったりしていたと聞くからね。だから社交性においてはね……。

:もう全然勝てないでしょう。

小田嶋:おっさんというのは、結局、猿山しかつくれないから。

:上下関係が決まらないと、人間関係が決まらないんだよ。

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