「ムラさん、あれは……」

:まあ、王さんだったら別に、それこそ早実から早稲田大学なんかは普通に行けたから。今、6大学野球がそれほど人気がなくなっちゃったでしょう。昔はプロ野球よりも、6大学野球の方が全然上だったのに。

小田嶋:そうそう、うちのおやじぐらいの世代の人たちは6大学野球を大好きだった人たちで、その流れで早稲田が大好きだった。だって、長嶋がプロに入ったことで、プロの地位がちょっと上がったと言われたぐらいだったからね。で、天覧試合を境に、マーケットが6大学からプロへと、逆転していったんだよね。

:1959年の巨人―阪神の天覧試合ね。長嶋が、天皇の退出時間の3分前にホームランを打って、試合を見事に終わらせたんだよね。でも投手の村山実は、死ぬまであれはファウルだと言い続けたんだよね。

小田嶋:その村山の霊前で、ミスターが手向けた言葉が「ムラさん、あれはホームランだったからね」という。そういう、ちょっと笑えるエピソードがいろいろあるところが、ミスターのすごいところなわけだけど。

:そうそう。昔はさ……。

……と、だらだらと話は尽きませんが、紙幅の方はそろそろ尽きてきました。

(次回、いよいよ最終回の大団円に続きます)

日経ビジネスオンラインきっての長寿コラムとなりました「人生の諸問題」。ここから生まれた単行本は、発売順に『人生2割がちょうどいい』『ガラパゴスでいいじゃない』『いつだって僕たちは途上にいる』と、3冊になりました。同級生のおじさん2人のゆるゆるな会話と、それを容赦なくぶった切る清野お姉さんのやりとり、ぜひ書籍でもお楽しみ下さい。