:スカウトもおそらくは吉田投手に斎藤佑樹の幻影を見たと思うんですよ。つまり、投げ過ぎの肩を心配したというより、すでに投手人生のピークを過ぎたんじゃないかということですよね。

小田嶋:高校ピークで、伸びしろがいかがなものか、と。

日ハム的には元が取れる

:でも、その中で、日ハムだけは別なんですよ。なぜなら斎藤佑樹を自分たちで獲得して、一流の投手にはならなかったけれど、観客動員は十分だし、うちら、ビジネスとして成功したでしょうと。

小田嶋:斎藤佑樹は鎌ケ谷のファイターズスタジアムの二軍のエースで、あそこにすごくお客が来ているから、たぶんは日ハム的には十分、元は取っています。だからあれは失敗じゃないよ、と。日ハムって、異常にくじ運がいいことも含めて、ちょっとそういう球団だよね。

:そもそも大谷も採っていれば、中田翔も採っているし、あと、ダルビッシュ有も採っている。すごいよね、このくじ運。

小田嶋:それで選手を上手にブランディングして、ポスティングで外に出して、莫大な金を得る。

:吉田投手と投げ合って勝った、大阪桐蔭のエース柿木も、日ハムは4位で指名しているんだよ。だから、甲子園で投げ合った2人という、すごい華やかなドラフトのラインナップになっている。これって、どちらかが育てばいいや、ということでしょう。まあ、これはまったくの僕の予測だけど。

小田嶋:いや、もうプロスカウトの目だよね(笑)。 

:僕、ちょっと吉田君が気になったのは、試合前と試合の後に、センターに向かって刀を抜くポーズとか、刀をしまうポーズをやっていたでしょう。仲間と合図し合ってね。かわいいんだけど、子どもか、と。そのメンタルで、プロで投げられるのか、と、スカウトの目としてはそういう懸念はあった。

小田嶋:なるほど。そうすると、根尾オシになるわけか。

:そうなのよ。

小田嶋:根尾は、これまた大人ですからね。

:両親とお兄さんがお医者さんなので、周囲が恐れたのは、彼が野球は高校までと言って、医学部を受けるんじゃないかということだった。

小田嶋:勉強の方も偏差値が70いくつかで、医学部に行っても全然不思議はないという話だったね。

:だから根尾が対戦相手に出てきたら嫌だな、というのはあるよね。まあ、僕たちと対戦するわけはないんだけど(笑)。彼は中学のときはスキーの選手で、全日本で優勝して、日本代表としてイタリアで試合をしているんだよね。

小田嶋:頭のよさにしても、インタビューを聞いていたら別ものだものね。

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