第2回からの続きです(こちら)。
「日経ビジネスオンライン」連載での最後のシーズンとなったのに、全4回のうちの2回を雑談で使ってしまいました。今回からは気を取り直して、「2018年を振り返る」の本題に入りたいと思います。
小田嶋:年末の話題で言えば、相撲協会と貴乃花(貴乃花 光司氏)ですかね。
岡:そうそう、貴乃花ね。
小田嶋:貴乃花はね、俺、これ、蛮勇を振るって、勇気を振り絞って言い切るけど……あの人、まずいよね。
全員:うーーん。(と、小田嶋さんの蛮勇に感嘆)

写真左:小田嶋 隆(おだじま・たかし)1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。日経ビジネス本誌で「パイ・イン・ザ・スカイ」、当日経ビジネスオンラインで「ア・ピース・オブ・警句」を連載中。近著は、『上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白』岡康道氏とは高校時代の同級生。
小田嶋:この先、彼は誰かが歯止めを掛けないといけない。人気のある人だから、国政選挙に出る線も濃いと思うんだけど、そもそも相撲協会的にすごく扱いに困っていたでしょう。それでも、一定の支持者が付いちゃっているから、それを無視できない。貴乃花で商売しようとしている層が出現しちゃっている。
岡:ある種、何かの星みたいなところに行っているよね。純粋だから、かえって始末に負えない。
小田嶋:純粋という言い方も何だけれども、言葉を言葉通りにしか解釈できないとか、文脈が分からないとか、そういう感じがすごくあって。
岡:そもそも相撲界って、中学を卒業したぐらいから入門するから、社会経験がゼロみたいな人たちだらけなんですよね。
小田嶋:そうそう。
岡:しかも、ほら、先代の貴乃花の息子ということは、要は大金持ちの相撲エリートで中卒だから、社会のことはほぼ1ミリも分かっていないはずです。
小田嶋:いわゆる「電車の切符を買ったことがない」というタイプなのかもしれない。なおかつ相撲協会の仕組みというのは、現役時代をそのまま反映しているということで、社会とか世間とかとは、とんでもない断絶が普通になっている世界。現役時代に番付1枚上が、絶対的に上だというのはいいんですよ。
岡:だから、そこは美しい猿山だよね(前回参照)。
みんな、栄養がよくて、肌がつやつやしているし。
小田嶋:その猿山社会が、そのまんま協会の理事長や理事に横滑りするんですよ。大横綱だった人が理事長、大関が理事って具合に、番付そのままにマネジメント機関の地位が決まっていく。あいつは前頭止まりだったから、理事はここまででしょうと、全部連動しているんですよ。
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