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出世の真理に気づいたヤツは、バカなことしか言わなくなる

:なぜつらいかというと、会社人生の中で、ルールがよく分からないゲームが始まっちゃって、どうすれば勝つのか誰も分からないまま、勝ち負けがついていって、勝ったやつは役員になる。それで、負けたやつは、よく分からない。

小田嶋:これ、語弊があるかもしれないけれど、表現系の業界は、特にその分からなさ感は著しいよ。私が知っているメディア業界で役員をやっている人は、みんな結構……(以下、禁句)。

:それは広告だって同じですよ。何か作ったやつ、目立ったやつは、絶対偉くならないですから。

小田嶋:そういう人は、岡みたいにフリーになって独立するしかない。フリーになると、会社の同世代の偉くなったヤツ、偉くならなかったヤツを、外側から観察する立場になる。俺もメディア業界のちょっと外側から、同年代の似たようなやつの動向を眺めてきた。そういう観察を長年にわたって行ってきた結果、出した結論は、「一言多いやつは出世しない」というもので(笑)。

珠玉の箴言byオダジマ先生。

:もう間違いないよ、それは。

サイン色紙に添える言葉は、これで決定ですね。

小田嶋:たとえば俺の知っている在京キー局の中で、役員になったやつと、そうじゃないやつを比べてみると、俺の評価とはまったく違うわけです。あんなに優秀だった人が何で今、ここにいる?? とか、逆に、あのぼんくらが何で今、あそこにいる?? とか。

ヤナセ:あるある、あり過ぎるほどあります。

:それで、紛らわしいのは、「一言多いと偉くなれない」ということを感づいたやつらは、ばかなふりをするようになるじゃないか。

小田嶋:そうなるね。

:たとえば会議の席では、絶対に鋭い意見を言わなくなる。ということは、ばかなやつが偉くなっているのか、ばかなふりをしているやつが偉くなっているのか、よく分からない。あそこにいる役員のあいつが、本当のばかか、そうじゃないか、分からない。ルールも真実も、どんどん分からなくなって、これは苦しい。

ヤナセ:本当に苦しいです。僕の同年代である50代のサラリーマンは、みんなあがいていますね。

(それがどうなっていくのか。第2回に続く。)

日経ビジネスオンラインきっての長寿コラムとなりました「人生の諸問題」。ここから生まれた単行本は、発売順に『人生2割がちょうどいい』『ガラパゴスでいいじゃない』『いつだって僕たちは途上にいる』と、3冊になりました。同級生のおじさん2人のゆるゆるな会話と、それを容赦なくぶった切る清野お姉さんのやりとり、ぜひ書籍でもお楽しみ下さい。