小田嶋:でも、年金をもらっていれば、まあ、その辺りの人たちにとっては、定年後のヒマな日々の埋め草ができるという点で、双方にとって一種、ウィン・ウィンというか、ルース・ルースの関係が出来上がっている。
岡:確かに、そういうのが周囲でも増えているよ。
小田嶋:だから今、国会議員と並んで、大学の非常勤講師って、すごくダーティな肩書にならんとしている。
早稲田大学の文化構想学部では、小田嶋隆先生が非常勤講師に就任したと聞きましたが。
小田嶋:ダーティですよね。要するに文学部だけじゃ食えないから、広告だったり、文学部系統の中でマネタイズできそうなものについてだったりの、実学もちょっと入れ込みましょう、ということだと思う。
岡:そこで小田嶋が起用されることが、果たして正しいかは、別の話だけど。
実学かどうかはともかく、小田嶋さんは文学的といえば、いえなくもない人生を送ってきましたよね。
岡:何てったって、アル中をやって、生還までしているものね。
10年後、僕らはどうなっているのだろう
小田嶋さんは最近は、母校の早稲田のみならず、慶應の丸の内シティキャンパスでも教えていらっしゃいますよね。
小田嶋:あれは時々やっていますが、成人学習講座やカルチャーセンターがいろいろある中で、クオリティーがかなり高いんじゃないですかね。場所も丸の内のビジネス街ですし、受講される方も、モチベーションが高い人が多いように思います。というか、あっちの方がペイが全然いいですね。
岡:そうなんだ。
小田嶋:あれは丸の内の大家である三菱と慶應が組んでやっているものなわけだけど。
岡:慶應というのは、そのあたりがやっぱり抜かりないんだよ。
小田嶋さんは今後、教授に昇進する可能性もありますね。
小田嶋:それはない。
そうですね。心にもないお世辞をいってしまいました。率直に言い直しますと、小田嶋さんが大学で教えるなんて、世も末だな、と思います。
岡:だから難しいよね。僕たち、60歳を超えたのに、枯れ方がよく分からないし。
小田嶋:まあ、確実に視力は下がっているけれど。
岡:下がったね(笑)。ただ、今から枯れていたら、その先が続かなくなっちゃうな、と。
ということは、10年後にも、ここで同じ対談をやっている可能性は大きいということでしょうか。
岡:まさか、同じことはいっていないと思うけどね。
今回だって、10年前とほぼ同じことをいっているんだから、10年後もほぼ同じ気がします。
岡・小田嶋:そうだね……。

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