小田嶋:役所に帰る人もいただろうし、家かどこかに帰る人もいただろうけど、とにかく11時以前は来ない、というぐらいのとんでもない人たちでしたよ。それで、いつも異常なハイテンションで、天下国家の話題を語っているので、大丈夫か、この人たちは、と思いましたね。

:でも、「国家のために」と思って仕事をしたら気持ちいいだろうな。

それがなきゃ、やりませんよね。

:やらない。やれない。

小田嶋:俺たちすごく優秀な人間だけが集まって、お国のことを一致団結してやっているんだ、という気分が、明らかにあるはずですよ。

:広告屋には、それがない。しかし官僚は給料が安いだろう。

小田嶋:残業手当について、こぼしていたけど、本当に安かった。

でも、本人たちがそれを最終的に納得するしくみが、日本にはあったわけですよね。

小田嶋:退職金がいいぞとか、天下り先が確保されているぞとか、そういうロングで見ると、すごく勝ちに行けるんだけど、でも、30代であんなに働いて、こんな給料なんですか? と俺すらが驚くくらいに、安いわけだよ。

:使命感とか優越感みたいな気分がなければ、やってられませんよ。

小田嶋:あと、高揚感ね。でも、近ごろの日本は、それらをみんなで寄ってたかって、取っ払ってきたじゃないですか。

:それで、官僚のマインドが薄まってきたという風潮は感じる。

小田嶋:こいつらの天下りを許すな、こいつらの退職金を減らせ、いい気になったエリート意識をつぶせ、といって、全部やめさせたら、まあ、本人たちはやってられないですよね。

はしごを外された人々の逆襲か

:一連の前川(喜平・前文科省事務次官)さんの話も、それがあるだろう。

小田嶋:加計学園の問題をめぐって、あの前川さんの話が出てきちゃったというのは、政治家が官僚の顔をあまりにもつぶし過ぎたからですよ。官僚に根回しから何から全部準備させて、いろいろやらせて、問題が生じたら、最後の最後で、「俺たちは知りません」「やっていません」と政治家がいう。それは頭に来ますよ。

:頭に来る。

小田嶋:あんなはしごの外され方をした日には、官僚たちは、

:前川さん、頑張ってください。

小田嶋:暴露しちゃってください、と。

:そうなるな。

小田嶋:稲田朋美の南スーダン「日報問題」もそうですよ。

:あれもそうだよね。

小田嶋:南スーダンで戦闘があったとする、やばい内容が記された日報は「ない」と、防衛大臣が国会で答弁していたでしょう。そうしたら「あるよ」という話が出てきちゃって、「知らない」「知っていた」の水掛け論。内部統制を問われたら、「じゃあ、特別防衛監察で厳正に調査します」という国会答弁をまた行ったんだけど、「日報が出てきたことは、自分は全然知りませんでした」といい通した。

:だけど、日報を隠ぺいすることを了承する会議に、本人も出ていたんじゃないの?

小田嶋:ということが報道されて、やっぱり、あの間の国会答弁は全部うそだったのか、という問題に発展したんだけど。

:どっちのいい分が本当なのか、ということについては、もう明白だよね。

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