小田嶋 隆(おだじま・たかし)
1956年生まれ。東京・赤羽出身。早稲田大学卒業後、食品メーカーに入社。1年ほどで退社後、紆余曲折を経てテクニカルライターとなり、現在はひきこもり系コラムニストとして活躍中。日経ビジネス本誌で「パイ・イン・ザ・スカイ」、当日経ビジネスオンラインで「ア・ピース・オブ・警句」を連載中。近著は、『上を向いてアルコール 「元アル中」コラムニストの告白』岡康道氏とは高校時代の同級生。

 社会心理学の事例になりそうですね。

小田嶋:そこで相手に「金、ある?」とか聞くことは、男の子として格好がつかないんだよ。

:ないと分かって、じたばたするのもカッコ悪い。じゃあ、ヨシダを呼ぼう、電話かけるから10円玉ある? みたいになるわけです。

小田嶋:まだ公衆電話の時代で、まず家族が電話に出てくる時。それで、ヨシダは板橋区あたりから万札を持って来たね。「友達がピンチだから、これから万札を持って行ってくる」というのは、親にしてみれば……

 おい、待て、と。

:これこそオレオレ詐欺ですよね(笑)。

小田嶋:岡はそういうことが、天才的にうまかったですね。

:人聞きの悪いことを言わないでくれる?

小田嶋:もう一つ、ひどい話があってさ。最近、ナガツカとのつきあいが復活したじゃない?

 ナガツカさん?

:小石川時代の同級生ですよ。

小田嶋:ナガツカがある日、岡から、どこかの女の子とデートなのでお前、ちょっと来てくれ、と呼び出されて、「何で俺が行くの?」と思いながら、言われるままに車を出したら、「お前、ちょっと運転してくれ」ということになって、岡とデート相手の2人を後ろに乗せて運転して、いろいろなところへ行って、夜、飯を食う時に勘定まで持った、という話。

すごくありそうな話だな、と。

:意味が分からない(笑)。

小田嶋:なおかつ、最後は「ナガツカ、お前、就職はどうなっているんだ。こんなことをやっていちゃだめだろう」と、岡に説教をされたという。

 ということは、岡さんはすでに社会人だったということですね。信じられない。

:でも、その話はナガツカの脚色が入っていると思う。だって僕、記憶にないもん。

小田嶋:俺は、すごくありそうな話だな、と思った。

 確かに。信じられる。

:おいおい。

小田嶋:デートに人を呼び出して、車を運転させて、金を出させて、「今日はありがとう」でも「この借りは返す」でもなく、「お前、こんなことやっていちゃだめだ」と最後は説教している、というのは、すごい岡らしいんだよ。

 このパターンは、説教強盗ですかね。

:いや、その話、本当かな、それ。

その場にいる全員:やりそうですね。

小田嶋:やりそうだよ。

 そのナガツカさんという方は、その後、就職はされたんですか?