<span class="fontBold">岡康道(おか・やすみち)</span><br />1956年佐賀県に生まれ東京に育つ。早稲田大学法学部卒業後、電通に入社。CMプランナーとしてJR東日本、サントリーなど時代を代表するキャンペーンを多く手がける。97年、JAAAクリエイター・オブ・ザ・イヤー受賞。99年、日本初のクリエイティブ・エージェンシーTUGBOATを設立。NTTドコモ、TOYOTA、ダイワハウス、サントリーなどのCMを手がける。ACCグランプリ、TCC最高賞ほか多数受賞。エッセイ集『<a href="http://amzn.to/2ERl2xZ" target="_blank">アイデアの直前</a>』、小説『<a href="http://amzn.to/2HMSILl" target="_blank">夏の果て</a>』などがある。近著は『<a href="http://amzn.to/2HLhw6a" target="_blank">勝率2割の仕事論</a>』。小田嶋隆氏とは高校時代の同級生。
岡康道(おか・やすみち)
1956年佐賀県に生まれ東京に育つ。早稲田大学法学部卒業後、電通に入社。CMプランナーとしてJR東日本、サントリーなど時代を代表するキャンペーンを多く手がける。97年、JAAAクリエイター・オブ・ザ・イヤー受賞。99年、日本初のクリエイティブ・エージェンシーTUGBOATを設立。NTTドコモ、TOYOTA、ダイワハウス、サントリーなどのCMを手がける。ACCグランプリ、TCC最高賞ほか多数受賞。エッセイ集『アイデアの直前』、小説『夏の果て』などがある。近著は『勝率2割の仕事論』。小田嶋隆氏とは高校時代の同級生。

小田嶋:大学デビューってことをいうと、東京の、特に都立高校から大学に入ったやつというのは、大学デビューがきわめて難しい立場にいるわけ。田舎から大学に来たやつは、東京に出てきたこと、すなわち大学デビューであり、それまでの田舎での暮らしをすっかり捨てて、新たなキャラクターを作っていけるでしょう。

:「黄色いハンカチーフ」みたいにね。

 「木綿のハンカチーフ」ですね。

:そう、「木綿のハンカチーフ」ね。田舎で自分を待っている人を捨てて、という。

小田嶋:でも、俺たち東京の出身者は、それができないじゃない? 大学を歩いていると高校の同級生が普通にいて、ソネあたりから「おお、小田嶋」とか声をかけられて、きれいに変身ができないんだよ。

:でも、何とか変えたいんだよ。

小田嶋:だから、ある程度シナリオを書いて作りにかからなきゃいけない。それで、大学デビューということについては、A男が強いシナリオを持っていた。それが「海の男」であり、ヨットであったわけだよ。

:A男か。いたね、小石川高校に。あいつも早稲田だったっけ?

小田嶋:早稲田でも一緒だった。

:でも、ヨットは体育会になるんじゃないの? だったら、そんなの、聞くだけでムリじゃん。

小田嶋:早稲田には体育会ともう一つ、別のヨットクラブがあったんだよ。で、体育会はさすがにやっていけそうもないだろう、ということで、もう一つの方の入部説明会に行った。

:そもそもお前だって、そんなに海好きじゃないだろう。

小田嶋:お前のアメフトと似たようなもんだよ。

:僕のアメフトは一応、理工の体育会だったんだよ。だから同好会というほど楽なものでもなかった。

体育会を避けて、海軍にハマる

小田嶋:まあ、とにかくA男と2人で行ったわけだ。そうしたら、体育会を避けたはずなのに、何のことはない、海軍だったんだよ。

:海軍だったのか。

小田嶋:もう、体育会どころじゃないの。

:うーん。

小田嶋:佐島マリーナに自分たちのボートハウスというか、小屋を持っていて、そこに練習用のヨットがいくつか係留されていて。

 聞いてるそばから、小田嶋さんの世界では全然ないな、と思います。

小田嶋:だから、「OBに森繁久弥がいて、森繁久弥寄贈の森繁杯というのを年に1回やる」とかいうことで、何かちょっとステキな話に見えたのよ。だけど、行ってみたら、その練習用のヨットというのが、本当の木でできている、ものすごい重いやつで。

:北朝鮮の漂流船みたいな感じ?

小田嶋:そうそう、あの木造船みたいなやつ。

:だったら、三浦半島じゃなくて、日本海沖じゃないか。

小田嶋:いやいや、それはそれとして、当時、大学デビューでヨットだっていうやつは、早稲田の中にはたくさんいて、40人ぐらいが来ていた。

:ありがちなシナリオだものね。

小田嶋:それで、「お前ら、そこに並べ」って、40人が並ばされたんだけど、こっちは入部説明会にわざわざ来てやっているのに、「お前ら」って言い方はねえだろうって、俺、カチンと来て。

:だけど、校内ではいざ知らず、もう佐島まで来ちゃっているんだから。

小田嶋:逃れられない。もう手下。1年はゴミで、2年は何とかで、入部説明会に来るやつなんて入部以前の雑魚だ、と、そういう世界なわけ。

:雑魚なんて、どうなってもいいよね。

小田嶋:それでいきなり、その木造船を指して「海に運べ」と。「え? この船を、ですか」と、びびりながら、15人ぐらいで持ち上げて、砂浜の上を運んだら、「よーし、そのまま海に入れ」って。「え? この格好で、ですか」って。

次ページ 俺が着られる服は両国にしかないのか