
(前回から読む)
岡:小田嶋の怪我と入院の話をしてきたけど、この間僕も病院に行ったんだよ。舌の付け根がしびれる感じがして、奥に何か突起物というか腫瘍というか、そんなものがあるのに気が付いて。
小田嶋:それ、二枚舌というやつじゃないの?
一同 (拍手)
岡:違う(むっ)。 それで、ケロヨンっていうノドの薬があるじゃない?
イソジン。
岡:そう、イソジン。それを付けて、どうにかなるかと思ったんだけど、いくら付けてもだめで、これはもうレーザーか何かで焼いてもらうしかない、と思って医者に行ったんだよ。医者には、舌を引っ張る機械みたいなのがあるじゃないか?
小田嶋:べーっと引っ張り出すあれか。
岡:べーっとやって、「岡さん、これですか」と。
小田嶋:突起があったんだ。
岡:あったんだよ。それどころか、「岡さん、この横にも突起があるのが分かりますか」と、さらに言われて、横にも6つぐらい突起があった。
小田嶋:じゃあ、そこで何らかの宣告があったのか。
岡:いや、それらはみんな味覚を感じる突起物で、これをレーザーで焼いちゃったら味が分からなくなりますよ、と言われた。
つまり、ただのお騒がせの人だった、と。
岡:ははは。そんなばかなことがあったんだよ。ということを、弟のアツシ(こちらの著者さん)に話したら、「俺も1年前にこれに気が付いて、病院に行った」という話だった。
兄弟そろってツボが同じ。
岡:やっぱり医者から、「普通はみんな、気が付かないで過ごしているところを……」と首をひねられたんだってさ。
舌の付け根のしびれは大丈夫だったんですか。
岡:そのことを医者に話したら、「安定剤飲みますか?」という答えだった。だから、あの突起は誰にでもある。知らなかったでしょう。
全然知らないですけど、自慢することなのかな。
小田嶋:そんなの気が付く方がどうかしているよね。
欲望を抑えるただひとつの方法
ということで、前回に続いて小田嶋さんの退院の話に持っていきたいと思いますが、小田嶋さん、退院後の経過は順調だったんですか。
小田嶋:うん、経過は全然順調でした。糖尿の値も、血糖値とヘモグロビンの何とかも劇的に改善したの。
よかったね。
岡:だけど、本当に大事なのは退院直後じゃなくて、その後だよ。
小田嶋:うん。退院して以降はやっぱりリバウンド気味になって、2カ月後に診察に行ったら値が悪い方向に戻っていた。だから、やっぱり生活の仕方だよね。あの生活をしていれば、人間、全然大丈夫だということだよ。
なるほど。入院しとけ、という感じですね。
岡:これで老人ホームも怖くないぞ、と。
小田嶋:ただ問題は、あんな生活に何の潤いがあるのだろうか、という1点だね。
岡:そこが極めて重大なんだよ。

右の『超・反知性…』の元となった当サイト連載の「ア・ピース・オブ・警句」の筆者、小田嶋隆さん。当サイトでのもうひとつの連載が、高校時代からの旧友、岡康道(TUGBOAT代表)さんとの、2007年からはじまった日経ビジネスオンライン屈指の大河連載、この「人生の諸問題」です。
おかげさまでNHKや全国紙、スポーツ紙、夕刊紙などなどからインタビューが目白押し、書評でも大好評、三刷り!の『超・反知性主義入門』。入院期間のちょっと弱気な小田嶋さんのコラムも入っております。高校時代の同級生、森本あんり・国際基督教大学副学長との2万字に及ぶ「日本人と宗教、そして反知性主義」をテーマとした対談も読み処。それでは引き続き、清野由美さんのナビゲートで「人生の諸問題」を、のんびりまったりお楽しみ下さい。(Y)
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