:楽しみを、ほら、見つけないとだめだからさ。だって、基本的には元気なわけだから、もう耐えられないわけですよ。僕も腎臓が回復してきて、車いすがオーケーになったら、3人ぐらいで院内を徘徊するようになって。みんな180センチぐらいある、ガタイのいいやつらで、そういう患者がうわあと院内を車いすで走り回るの。

小田嶋:あの病院はそういう意味でひどかった。

…話を小田嶋さんの入院に戻すと、小田嶋くんは今回、自分で転んで、自分で骨を折って、誰にも迷惑をかけなかったところはエラい。

:そうだね。

小田嶋:俺を発見してくれた上品な老婦人は、いかにも皇居に行く途中でございます、みたいなご様子でした。それで「救急車をお呼びしましょうか」と丁寧に問われて、「はい、お願いいたします」と(笑)。それで自分で電話に出た時は、「恐れ入りますが、竹橋でころびまして……」とか言ってるの。

:ばかだね(笑)。

小田嶋:これが赤羽だった場合は、まあ、だいぶん違っていただろうね。ですから、千代田区と北区の違いを実感しましたね。それで、救急車を待っている間に、岡から「マージャンできる?」と、例の電話が来たわけだよ。

小田嶋さんは「恐れ入りますが、いたしかねます」という状況だったんですね。で、その日はマージャンをやったんですか。

じゃあ、ここで麻雀やろう

:いや、やりませんでしたよ。メンツが集まらなかったから。だいたいさ、そんな時間に小田嶋を呼ぶということは、切羽詰まっているわけだから。というのは、僕の方には編集とか、やってみないと分からない仕事があるわけですよ。で、夜通しの作業を見込みながら、「あれっ、今日は4時に終わっちゃったよ」みたいなことが時々起きる。それで、「じゃあ小田嶋だな」みたいになる。

小田嶋:「今日どう?」というのは、だいたいそういうことだよね、いつも。

:そういうシチュエーションで、「おお、いいよ」と言うやつは、なかなかいないわけだ。

普通の人たちは忙しくしているわけですものね。

:小田嶋は、ちょうどいいエアポケットにいる(笑)。

でも、小田嶋さんは12週間、病院暮らしですよね。

小田嶋:入院とはいっても、結局骨が付くのをここで待つ、ということであって、恒常的な治療を受けるわけではないので、ここに、いたきりになるというよりも、むしろここを拠点に外に出掛けたりすればいいのではないかと考えているんだけど。

:お前、それだと病院じゃなくて事務所じゃないか(笑)。

まさしく。

:だったら、この部屋にテレビも机も持って来よう。

編集部もここに分室を置きましょう。

:ここ、マージャンもできるね。

小田嶋:いや、そういうことを言うのは、冗談でも、やめてくれ。俺にも入院中という立場と、病院に対する恩義がある。

:でも確かに、そのうち外出はできるようになるね。

小田嶋:そう。だけど俺の怪我は、治りがけに地面にどんと足を突いちゃうとか、町中で誰かにぶつかられちゃうとか、そういうことを避けないといけない。

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