感覚でシフトを組まず、データを基につくるのですか。

 

内藤:感覚的な議論ほど危険なものはありません。私が企業を訪ねると、最初に必ず、客数を横軸にして、従業員数か労働時間を縦軸にしたプロット図を作ってもらいます。議論が始まるのは、そこからです。

客数と出勤スタッフ数に応じた点を1日当たり1点ずつ置いた。このプロット図からいろいろな事実が見える
客数と出勤スタッフ数に応じた点を1日当たり1点ずつ置いた。このプロット図からいろいろな事実が見える
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 プロット分析をすれば人員の無駄が分かり、そこをシフト編成で改善することで生産性は上がる。生産性が上がれば、残業時間が減っても、従業員の給料は変わらないか、むしろ上がるのです。だから、従業員の協力が得られるのです。

 「残業を減らすと売り上げも減る」という不安を抱えている経営者は、こうしたデータに基づく分析をしていないだけ。分析もせず、「とにかく効率よく仕事をして残業はしないでくれ」と従業員に頼んでも時短は無理です。

 製造業の効率化の考え方を、サービス業に当てはめる人もいますが、それも経営を感覚的に捉えているからです。例えば、作業時間を短くしようとするサービス業の経営者は多いけれど、それはどれだけの意味があるのか。

作業時間の短縮にどれだけの意味があるのか?

作業時間が短縮するのは、いいことだと思いますが。

内藤:もちろん、いいことですよ。ただ、サービス業の場合、作業時間を短くしても、それに比例して従業員の労働時間が減るとは限りません。なぜかというと、お客様がいるときしか、サービスを提供できないからです。それなのに従来は、製造業で成功した効率化手法をサービス業に当てはめることばかり考えてきました。

 製造業の現場では短時間で作れば作るほど、生産効率は上がります。製造業では作った商品を在庫として持てるから、速く作業をすることに意味がある。しかしサービス業では、お客様がいないところでできる仕事は少ないのです。

 ある店が10分で作っていたラーメンを5分でできるようにしたところで、お客様が15分おきにしか来ないなら、手待ち時間が5分増えるだけです。もちろん、ラーメンを10分で作るより、5分で作るほうがオペレーション上は優れています。混雑する時間帯は作業時間短縮が大きな効果をもたらしますから。

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