同じ携帯電話番号を使いながら携帯電話事業者を乗り換えられる「MNP(番号持ち運び制度)」が5月24日から簡単な手続きで進められるようになった。乗り換えが簡単になれば携帯電話事業者間の競争が活性化される。NTTドコモやKDDI、ソフトバンクに比べて契約者数が少ない楽天モバイルは、この機を生かせるか。

 同じ携帯電話番号を使いながら携帯電話事業者を乗り換えられる「MNP(番号持ち運び制度)」が5月24日から簡単な手続きで進められるようになった。乗り換え先の携帯電話事業者とやりとりするだけで手続きが完了するMNP「ワンストップ」化を、NTTドコモとKDDI、ソフトバンク、楽天モバイルの携帯大手4社と一部のMVNO(仮想移動体通信事業者)が開始したからだ。その他の通信事業者も順次、導入をスタートする予定だ。

MNPワンストップ化を見据えて新施策を発表する楽天グループの三木谷浩史会長兼社長(写真:小林 淳)
MNPワンストップ化を見据えて新施策を発表する楽天グループの三木谷浩史会長兼社長(写真:小林 淳)

 これまでのMNP手続きは面倒な要素が多かった。現在契約中の携帯電話事業者に電話をして専用の番号(MNP予約番号)を発行し、乗り換え先の携帯電話事業者にその番号を伝える必要があった。しかもその番号は、発行から15日たつと有効期限が切れてしまう。仕事が忙しくて乗り換え先の携帯電話事業者のショップに行けないまま期限切れ、というケースも少なくなかった。

 MNPのワンストップ化によって、MNP予約番号の発行は不要になる。乗り換え先との手続きだけで完了するため、現在利用中の携帯電話事業者に引き留められることもない。これまでは、乗り換え元の携帯電話事業者が、ポイントを配布するなどして契約者を引き留める行為が目立ち、市場競争の公正さを損なうと問題視されていた。過度な引き留め行為は既に禁止されているものの、ワンストップ化によって、乗り換え元の携帯電話事業者は引き留める機会すらなくなる。

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