3月、米国でシリコンバレーバンクが破綻した。「取引先企業の経営がいつ傾いてもおかしくない」と不安を覚えた人も少なくないのではないだろうか。企業の信用度を測定する与信管理クラウドサービスを提供するアラームボックス(東京・新宿)は、情報源の一つとしてSNS(交流サイト)を活用する。同社のサービスは既に地方銀行や通販サイト運営会社など約6000社で導入が進んでいる。悪意ある投稿も紛れる玉石混交の情報の中から、どのように企業のリスクを分析する材料を拾い集めているのか。

 アラームボックスは、AI(人工知能)を活用した与信判断・管理のクラウドサービスだ。

 従来、取引先の信用度を判断したり反社会的勢力かどうかを確認したりするには、専門の調査員がヒアリングをしてリポートを提出するなど、属人的な手法が主流だった。1社の調査にかかる費用も安くはなく、それが複数社となればかなり高額になる。取引先の情報が必要な場合でも中小企業などは頻繁に調査を依頼できず、さりとてたまの依頼では情報鮮度が落ちてしまうというジレンマがあった。

 そこでアラームボックスは、企業のホームページやSNS、口コミサイトなどのインターネット上にあふれる定性情報を、自社開発したAIで集めて診断する。その結果から、分析対象となる企業の経営状況について「注意」や「要警戒」など独自の評価を付けて、依頼者に報告する。調査員によるチェックも合わせて行うが、従来の方法よりコストを抑えられる上、リアルタイムでの分析ができるようになった。

この記事は会員登録で続きをご覧いただけます

残り1092文字 / 全文1747文字

日経ビジネス電子版有料会員なら

人気コラム、特集…すべての記事が読み放題

ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題

バックナンバー11年分が読み放題

この記事はシリーズ「悪意の研究」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。