組織内で醸成された悪感情への適切な対応を欠いた企業は、後に大きな“ツケ”を支払うリスクを抱える。従業員の声に耳を傾け、悪意の発生を抑制する仕組みづくりが求められている。
計測器などを手掛ける共立電気計器(東京・目黒)の元従業員が1月、不正アクセス禁止法違反容疑などで逮捕された。この男は2022年6月に会社のサーバーに不正接続し技術情報などを削除したとされ、復旧コストは約660万円に上ったという。
報道によれば、男は人間関係の悪化を理由に21年12月で退社していた。同社の関係者は「社内トラブルが今まであまりなかった分、(対策が)甘かった」と反省する。
退職者とも関係を保つ
共立電気計器に限らず、退職した従業員がかつての職場に悪意を向け、危害を加える事例は枚挙にいとまがない。企業は退職者とのコミュニケーションに細心の注意を払う必要がある。既にそうした需要に応えるサービスを提供する会社がある。企業と個人のつながりを支援するハッカズーク(東京・新宿)だ。同社は、「企業と退職者」や「退職者同士」で情報交換できるオンラインプラットフォーム「オフィシャル・アルムナイ・ドットコム」を運営する。

アルムナイ(卒業生)ネットワークを築く会社は増えている。三井住友海上火災保険や野村証券などが、ハッカズークのシステムを利用している。同社執行役員アルムナイ事業責任者の實重遊氏は、「退職者を『裏切り者』扱いしてはいけない」と説く。
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