運営ゴルフ場が国内最多の170以上を誇るアコーディア・ゴルフ(東京・品川)の石井歓社長兼CEO(最高経営責任者)が日経ビジネスのインタビューに応じた。石井氏は「ゴルフ場をよりカジュアル化したい」と語り、コースの質の維持のみならず、女性向けクラブハウスへの改装や食事の改善も進める方針だ。米フォートレス・インベストメント・グループ傘下の同社はゴルフ場だけでなく、練習場のM&A(合併・買収)を積極的に進める意欲も示した。新型コロナウイルス禍で若年層のゴルファーが増えていることを奇貨として、業界をリードする同社が攻勢に出ている。

新型コロナウイルス禍でゴルファーが増えているようですね。
石井歓・アコーディア・ゴルフ社長兼CEO(以下、石井氏):最近、取材などで「コロナ禍で人気になったゴルフについて、そうした“コロナバブル”がはじけたら、どうしますか」とよく聞かれますが、バブルははじけてはいないと思います。ゴルフへのデマンド(需要)は強い。業績は天候に左右されることもあり、悲喜こもごもの面がありますが、予約の積み上がり方を見ていると需要が弱まっている感じは全くないです。
これまで来場者の多くは50歳代前後の「おじさん」たちでしたが、30、40歳代が増えています。コロナ禍で他にやることがないのでゴルフ場に行ったという人も多い。SNS(交流サイト)にアップしても、ゴルフ場の風景は映えます。流行に敏感な人たちが繰り出している面があると思っています。コロナ禍が落ち着いて年配層も戻っています。それで今の需要の強さは説明できると思います。
実際、若年層の来場者は増えています。私たちのゴルフ場について、新型コロナ感染拡大前の2019年は39歳以下の利用者の割合が約12%だったのが、22年は16%弱です。休日に若年層が多い印象です。
誰もが気軽にプレーできるゴルフ場を目指している御社としては追い風になります。
石井氏:正直、若者のゴルファーが増えた理由の一つは、私たちのゴルフ場があるからだと思います。比較的リーズナブルにゴルフができますから。
ゴルフ場ビジネスを本業にしていますから、多くの人に来ていただくことで、収益性を上げなければいけません。そして単に黒字にするだけでなく、ROI(費用対効果)、IRR(内部収益率)という経営指標で見ても株主に満足していただける水準を目指さなければいけません。そのやり方はいろいろあります。私たちが選んだのが、一般的な人に手ごろにゴルフを楽しんでもらえるようにすることです。
稼働率確保のためどのようなことをしていきますか。
石井氏:一番重視しているのがゴルフコースの質です。強調したいのは、コースに関して「安かろう、悪かろう」ではダメということです。もちろん、米国にある名門コース「オーガスタ・ナショナル・クラブ」のようにはいきませんが、グリーンにしても、フェアウエーにしても、基本的なクオリティーを維持したいです。
そのためにできれば続けたいのがゴルフのPGAツアートーナメントです。22年は、千葉県の「アコーディア・ゴルフ 習志野カントリークラブ」が会場になり、ZOZOチャンピオンシップが開かれました。あれほどの大会の会場になるということを一つのブランドにしたい。今後もPGAツアーは要請いただける場合、積極的にお受けしたいです。
この記事は会員登録で続きをご覧いただけます
残り3324文字 / 全文4720文字
-
「おすすめ」月額プランは初月無料
今すぐ会員登録(無料・有料) -
会員の方はこちら
ログイン
日経ビジネス電子版有料会員なら
人気コラム、特集…すべての記事が読み放題
ウェビナー日経ビジネスLIVEにも参加し放題
バックナンバー11年分が読み放題
この記事はシリーズ「小原擁のゴルフ見聞録」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
Powered by リゾーム?