日本でChat(チャット)GPTの導入が特に早かったのがパナソニックグループだ。2月に一部の事業会社、4月に全社で展開した。先陣を切った事業会社のノウハウを継承し、全社展開を決めてからたった1カ月でChatGPTと同等の機能を持つ社内AI(人工知能)「PX-AI」を社員に開放。世界に与えた衝撃、利便性など従来とは一線を画すサービスの登場に「今回だけは違う」とスピード重視で導入した。

 「コネクト社は対話型AIの使用を始めたのですね」「我が社のセキュリティー基準に照らして対応できています」「うちも取り入れたいと思っていました」「では早速、全社で入れましょう」

 3月、パナソニックホールディングス傘下の事業会社CIO(最高情報責任者)十数人が出席した会議。本題に入る前の冒頭のたった10分間で、対話型AIの導入は即決された。

 対話型AIは事業会社の1つ、パナソニックコネクトが2月から先行導入していた。その流れを受け、日本で働くグループ従業員約9万人に拡大展開することを決定。CIO会議からわずか約1カ月後の4月14日、米オープンAIが開発したChatGPTと同等の機能を持つ社内AI「PX-AI」を社員に開放した。

開始1カ月で利用回数は25万回

パナソニックグループ独自の対話型AI「PX-AI」を約1カ月で構築。多くの社員が利用している(写真:宮田昌彦)
パナソニックグループ独自の対話型AI「PX-AI」を約1カ月で構築。多くの社員が利用している(写真:宮田昌彦)

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