世界中で「狂騒曲」が巻き起こっている、対話型AI(人工知能)サービス「ChatGPT(チャットGPT)」。マイクロソフト(MS)やグーグルといった米IT大手が開発を加速させる中、中国IT大手の百度(バイドゥ)も参入を決めた。中国で対話型AIはどのような進化を遂げるのか。

 「AIチャットボットプロジェクトであるERNIE Bot (文心一言)の継続的な開発を発表できることを誇りに思う」。2月7日、中国検索大手の百度はソーシャルメディア上で、自社が手掛ける対話型AIサービスについてこう投稿した。

中国検索大手、百度はAI開発に力を入れてきた(写真=NurPhoto / Getty Images)
中国検索大手、百度はAI開発に力を入れてきた(写真=NurPhoto / Getty Images)

 同日、「ERNIE Bot (文心一言)」と呼ぶ対話型AIサービスを発表した百度。社内でのテストを3月までに完了させ、正式にサービスを開始する予定だ。現時点で詳細は明らかになっていないが、検索サービスに統合するのではなく、まずはアプリとして提供されるもようだ。

 ERNIEは、「Enhanced Representation through Knowledge Integration」(知識統合を通じた拡張表現)の頭文字を取ったもの。「2019 年に(大量のテキストデータをAIに与えて学習させる)言語モデルとして最初に提案されて以来、大きな進歩を遂げてきた」(百度)という。ツイッターへの投稿資料などによると、中国語と英語に対応するほか、テキストから画像を生成する機能も備えているようだ。

 今回、百度が参入する背景には、AIスタートアップである米オープンAIが手掛けるChatGPTの爆発的ヒットがあるのは間違いなさそうだ。昨年11月末に公開したChatGPTは、利用者がわずか2カ月で1億人を突破するなど、驚異的な普及を見せている。MSはオープンAIに数十億ドルの追加投資を決め、検索サービス「Bing(ビング)」に連携させてチャット形式で検索できるようにする。米グーグルも2月6日、ChatGPT対抗となる新サービス「Bard(バード)」を発表するなど、世界的に対話型AIの開発競争が勃発している。

中国で使えないChatGPT

 中国メディアの報道によると、百度の李彦宏(ロビン・リー)CEO(最高経営責任者)は、昨年12月、全社員向けの社内放送で「日々取り組んでいる技術がこれだけ注目されるのは嬉しいが、簡単なことではない。難しいことだが、百度はやらなければならない」と語ったとされ、対話型AIへの早期参入を示唆していた。

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