「コストではなく先行投資」という発想で
先ほど私は「環境ビジネスというと、多くの人がコストという観点で捉えがちだ」ということを申し上げました。コストと言ってしまえばもう、それは「リスク低減」というストーリーになってしまう可能性が高いので、私はやはり「コストではなく先行投資」というストーリーも必要なのではないかと考えています。
例えば日本コカ・コーラのケースを見てみましょう。今、プラスチックの環境への負荷についての問題が大きくなっています。当然投資家も、ここに非常に関心を高く持っています。このような課題に立脚して、生分解性プラスチックのペットボトルを作りましたと。そうなると通常ならば、価格を上げなくちゃダメ。でも価格を上げずに遂行する、というストーリーですね。価格を上げずに先行投資でエコシステムを作るのだと。1社ではできないので、生分解性の樹脂を流通させるシステムを作り、それを先行投資でやると説明をしているわけなのです。
このシステムができると、後から参入する人たちは大変ですよね。日本コカ・コーラという大きな市場を持っている彼らだからできることなのかもしれませんが、実はそこに関わる企業は、いろいろなビジネス提案ができるかもしれません。
ダイキン工業はインバーターエアコンという、省エネ性は非常に高いけれど、価格も高い製品を途上国で展開する際に、(先に買ってもらうという)売り切りビジネスではなく、使用料を徴収するサブスク型のビジネスを展開しています。売り切り型のビジネスとの価格差は、長期間使用してもらうことで解消していくシステムですね。
こうした取り組みが、環境ビジネスに今、求められているところです。
三菱UFJリサーチ&コンサルティング フェロー(サステナビリティ)


吉高まり氏は課長塾オンデマンドの講師として活躍中です。課長塾オンデマンドでは、ビジネスパーソンがサステナビリティビジネスに取り組むうえでのヒントなどについて解説しています。
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