なかなか上がらない「利益」に代わる訴求ポイントは?
ストーリー作りの視点については、やはりビジネスなのでいかに利益を上げていくかという考え方が重要です。また環境ビジネスは利益が上がりにくいため、いかにブランドイメージを上げていくかを考えることが重要です。

もう1つ、ビジネスアイデアを考えるときには「今、自分がしていること」の視点で考えるか、それとも「社会のシステム全体を変えていこう」といった世界の流れから考えるか。この両方でちょっと整理してみたい。どういうことかと言うと、なかなか利益が出ないアイデアの場合は、ブランドイメージの向上から始めるということもあるでしょうし、昔はこの起点から始まったかと思うのですが、今はESG金融という、この価値を評価してくれる軸が出てきました。ですからこの(図の)右側の方の視点から始めても、チャンスが出てきていると思っています。
ストーリーには、様々な種類があるかと思います。例えば図の左上ですが、今の既存のインフラを活用しながら、新たな環境価値を提供する目的で製品の内容を変えていくというのは、起点としてあるかと思います。
また右下のように、いろいろな環境政策や環境ビジネス、グリーン政策が出てきますので、こういったものの先取りをしてビジネスを作っていくというやり方もあります。あとは左下、イノベーション技術、ハードテックですね。ここを作っていくというのもあるでしょう。右上は、左下と連動しますけれども、自分たちで新たなイノベーションを起こす。シェアリングエコノミーなどが、まさにそうですよね。こういった様々な視点から、ビジネスのストーリーが作れるのではないかと思うわけです。

環境ビジネスのアイデアを分類した中から、事例を紹介します。例えば、スニーカーに新しい環境価値を持たせるということに取り組んでいるオールバーズは、2021年に米ナスダック市場に上場した企業です。また右上、メルカリは皆さんご存じの通りです。シェアリングエコノミーの企業として上場しています。それから左下は完全に新しいクライメートテックやハードテックを考え、作っていくということで、ESG投資家が非常に注目をしているところでもあります。そして右下ですね。日本政府が「このような政策を打っていきます」というところに対応したビジネスですね。
サーキュラーエコノミーのJEPLAN(旧日本環境設計)はハードテック的な部分もあるのですが、仕組みづくりに取り組んでいます。サーキュラーエコノミーには、「システム」も重要です。つまり、循環をさせるために参加者や材料をいかに集めてくるか。こういった(他者も巻き込んだ)取り組みについていうと例えば、UPDATER(旧みんな電力)にも同じようなことが言えるのではないかと思っています。

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