石塚:「マイクロフォーサーズでやれば、確実に小さくなるよね」と。でもそれだと、完全に競合と同じ土俵になっちゃう。そしてご指摘の通り、せっかくコニカミノルタからαの資産を受け継いだのに、マイクロフォーサーズで違うものに乗り換えちゃったら、すべてがムダになっちゃいますよね。だったらまだ、自社開発のほうがいい。
ただ、Aマウントのレンズとは別に、ミラーレス専用の小型軽量レンズをつくったわけですよね。
石塚:はい、それが現在まで続いている「Eマウント」ですね。一眼レフ用のレンズは大きくて重いので、ミラーレス用には新しいEマウントという規格を用意して、専用の小型軽量レンズをつくることにしたんです。
「αのAマウントがあるのに、さらにEマウントを追加して、そっちもレンズを揃えるのか?」という、投資の重複を危惧する意見はなかったんでしょうか。
石塚:うーん、正直に言うと、当時考えていたミラーレス商品は、ポケットに入る小さいカメラとして、一般コンシューマー向けだと思っていたんですよ。なので、レンズも標準的なシリーズしか用意するつもりがなくて、フルラインナップまでつくる気はなかったんです。
えっ、そうだったんですか。じゃ、将来はEマウントがフルサイズのイメージセンサーに対応して、レンズもフルラインナップになるなんて。
石塚:ないない、このときは全然思っていません。
先を見た戦略の布石がすでにここから! とか期待していたんですが。
石塚:最初の頃のミラーレス開発は、いわばT1をつくったときの「やっちゃえ、ソニー」のノリですね(笑)。
このままではマイクロフォーサーズに勝てない
当初はあくまで、独自のミラーレス用のマウントでやったほうが差異化できるし、アダプターがあれば、Aマウントのレンズも資産になるし、ということだったと。
石塚:だけど当時のαは、ボディが大きいわけですよ。
それは、ミラーレス化してもでかいんですか?
石塚:ミラーレスだからもう光学ファインダーはいいよね、と、取っちゃって、とにかくどこまで小さくなるのかを、機械設計のエンジニア、僕らでいうところのメカ屋さんに図面を引いてもらった。そうしたら、これがでかいんです。
メカ屋ってやっぱり現実主義者なので、安全確実な図面を引いてくるんですよ。08年にはもうマイクロフォーサーズのオリンパスやパナのカメラが出てくるわけですが、比べたら、でかいし……。
カッコ悪かったんですか?
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