「ソニー」のデジタル一眼レフ、だから何?

当時はレンズ交換タイプにあまり興味がなくて、すみません。

石塚:いや、今だから言えますが、デジタル一眼レフのαシリーズは06年から始めて、このように様々な取り組みをしたんですけれど、正直鳴かず飛ばずで、ずっと赤字続きだったんです。一方で最初にお話ししたように、コンデジ(コンパクトデジカメ)のサイバーショットがWシリーズを中心に売れに売れていた。だから、事業本部としてはソロバンが合っていた。

そうだったんですか。支えていたのはコンデジだった。

石塚:(レンズ交換式単体で)黒字化するまでずいぶんかかりました。

「カメラ市場の本丸、本格派のカメラを手がけないと」という強い危機意識があって、コニカミノルタから事業継承までして手に入れたデジタル一眼レフが、うまくいかなかった。その理由はどこにあるのでしょうか。

石塚:もともとコニカミノルタが持っていたシェア以上を取れなかった。ということは、ユーザーの心を動かせなかったんでしょうね。「ソニーがデジタル一眼レフを出した、だから何なの?」と。一眼レフの世界では、ソニーだから売れるということは全然ない。ソニーブランドの値打ちが全然ないので、うまくいかなかったわけですよ。

コンデジでは個性がブランドにつながらず、本格派に出てみたものの、そこでは「個性がないね」と。使い勝手やレンズ資産の面から、ブランドスイッチが難しい市場でもあり、残念ながらコニカミノルタ時代のαを越えることができなかった。

石塚:そして06年11月に、僕はデジカメ事業の責任者としてDI事業本部長として戻ってきました。

戦線復帰。で、石塚さんはまず何をやろうとされたんですか。

石塚:「ソニーがレンズ交換式をやるなら、やっぱり、我々の真骨頂の小型軽量路線だろう」と。そしてちょうどこの頃、マイクロフォーサーズ陣営から「ファミリーに入りませんか」と打診が来るんです。

マイクロフォーサーズ。オリンパス(当時)、パナソニックが組んで、ミラーレスの小型化を図った規格ですね。

ソニーグループ副会長・石塚茂樹さん(写真:大槻純一)
ソニーグループ副会長・石塚茂樹さん(写真:大槻純一)

(つづきます)

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3/14、4/5ウェビナー開催 「中国、技術覇権の行方」(全2回シリーズ)

 米中対立が深刻化する一方で、中国は先端技術の獲得にあくなき執念を燃やしています。日経ビジネスLIVEでは中国のEVと半導体の動向を深掘りするため、2人の専門家を講師に招いたウェビナーシリーズ「中国、技術覇権の行方」(全2回)を開催します。

 3月14日(火)19時からの第1回のテーマは、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」です。知財ランドスケープCEOの山内明氏が登壇し、「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」をテーマに講演いただきます。

 4月5日(水)19時からの第2回のテーマは、「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」です。講師は英調査会社英オムディア(インフォーマインテリジェンス)でシニアコンサルティングディレクターを務める南川明氏です。

 各ウェビナーでは視聴者の皆様からの質問をお受けし、モデレーターも交えて議論を深めていきます。ぜひ、ご参加ください。

■開催日:3月14日(火)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「特許分析であぶり出す中国EV勢の脅威」
■講師:知財ランドスケープCEO 山内明氏
■モデレーター:日経ビジネス記者 薬文江

■第2回開催日:4月5日(水)19:00~20:00(予定)
■テーマ:「深刻化する米中半導体対立、日本企業へのインパクト」
■講師:英オムディア(インフォーマインテリジェンス)、シニアコンサルティングディレクター 南川明氏
■モデレーター:日経ビジネス上海支局長 佐伯真也

■会場:Zoomを使ったオンラインセミナー(原則ライブ配信)
■主催:日経ビジネス
■受講料:日経ビジネス電子版の有料会員のみ無料となります(いずれも事前登録制、先着順)。視聴希望でまだ有料会員でない方は、会員登録をした上で、参加をお申し込みください(月額2500円、初月無料)

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