米国の働きかけで日本とオランダも、先端半導体に関する対中輸出制限に加わらざるを得なくなった。今回のターゲットは半導体製造装置で、世界大手の東京エレクトロンとオランダ・ASMLが影響を受けそうだ。米バイデン政権の意向だけでなく、米半導体業界がこうなるよう強く要請していた。

 「米政府は可能な限りのことを尽くし、これらの規制について他国も巻き込むべきだ。同盟国との協議を進める必要がある」

 米国半導体工業会(SIA)は現地時間の1月26日、米政府が自国企業に課している先端半導体などの中国向け禁輸措置について声明を出していた。この規制を米中という2国間にとどめず、多国間での措置とするよう強烈に求める内容が並ぶ。実質的なターゲットは「日本」と「オランダ」だ。

 この米産業界による要求は、一般にはあまり知られていなかった。だが、すぐ翌日にはもっと世間の目を引く形で、国家間のニュースが出てきた。米ブルームバーグ通信や英紙フィナンシャル・タイムズが以下のように報じたのだ。「バイデン大統領の働きかけにより、日本とオランダも半導体禁輸の枠組みに加わる」ー-。

半導体製造装置メーカーが今回の影響を受ける(写真はASMLのEUV露光装置の設置研修の様子)(写真:ロイター)
半導体製造装置メーカーが今回の影響を受ける(写真はASMLのEUV露光装置の設置研修の様子)(写真:ロイター)

 なぜ米政府と産業界は矛先を日蘭という2カ国に向けたのか、振り返る必要がある。日本企業は以前にも増して他国でのロビー活動に目を凝らさなければならない。大国同士の対立が対岸の火事ではなく、自国にまで火の粉が降りかかる事態となる場面が増えているからだ。

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