「Meetings are a usually a bug.(会議はたいてい、バグです)」

 1月4日、ECサイト構築を手掛けるカナダのShopify(ショッピファイ)のトビアス・リュトケ最高経営責任者(CEO)が投稿したつぶやきが、世界的に注目を集めた。

 カナダの公共放送CBCや米ブルームバーグ通信などによると、ショッピファイは2023年初めにほとんどの会議の開催を停止した。水曜日をノー会議デーと設定し、3人以上の定例会議は原則禁止。50人以上の大会議は木曜日の午前11時から午後5時に限定した。さらに従業員に対し、大人数が参加するチャットからの脱退も促した。この「カレンダーの大掃除」により、7万6500時間が会議以外の仕事に集中できる時間になると見込んでいる。2週間の「冷却期間」を経て、社員は中止した会議を再開すべきかを検討するという。

「会議はたいていがバグ」と自身のツイッターに投稿し、会議の大幅な削減を表明したShopifyのトビアス・リュトケCEO(写真:David Fitzgerald / Getty Images)
「会議はたいていがバグ」と自身のツイッターに投稿し、会議の大幅な削減を表明したShopifyのトビアス・リュトケCEO(写真:David Fitzgerald / Getty Images)

 このツイートには返信が相次いだ。「バグは人(が原因)じゃないか。会議がすごく好きな人はいる」という返信に対し、リュトケ氏は、「同感だ。時に会議を『リセット』すると、そういうことじゃないと気付くことになる」と応じた。ブルームバーグによると、メタ(旧フェイスブック)など米国の大手企業も「ノーミーティングデー」を設けている例がある。

 新型コロナウイルス禍でネット通販が勢いづき、ショッピファイは時価総額がカナダロイヤル銀行を抜いて、一時はカナダ最高になった。しかしテックバブルの崩壊や、コロナ禍の勢いが鈍化したことにより、足元の評価額が大きく低下。従業員の削減にも踏み切った。働き方を一新し、「Deep Work(集中して取り組むべき業務)」を優先することで、社内を引き締める狙いがあるようだ。

 今、会議の存在意義が揺らいでいる。

 コロナ禍で急速に普及したテレワークの恩恵で、人々は場所に縛られず、通勤から解放され、自由に働けるようになる、はずだった。だが、現実はせっかく浮いた空き時間が、急増するリモート会議で埋め尽くされる例が少なくない。「多すぎる会議」は企業や従業員の頭を悩ませている。

 ショッピファイの大胆な施策はショック療法を狙っているに違いない。日本企業でも同様に「会議のダイエット」に取り組む例がある。

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