2023年は日本の産業界にとってどんな年になるのか。担当記者による主要業種の近未来予測。最終回は航空・鉄道とホテル・旅行業界に注目する。新型コロナウイルス禍の暗闇から抜け出しつつあり業績は回復傾向にあるが、新たな不安材料も持ち上がっている。
■連載ラインアップ
・大胆予測2023:台湾有事に備えよ 兵糧攻めで日本に打撃
・米国と中国の巨大戦力が対峙 日本揺るがす台湾有事の最悪シナリオ
・ウクライナがロシアに勝つ エモット氏「プーチン氏の権力の最後」
・油断できぬ為替、1ドル=150円が日常に 日本に構造的な売り圧力
・踊らぬ消費、値上げと賃金伸び悩みの板挟み 力不足のインバウンド
・テック業界浮上せず 高成長神話陰りバブル崩壊、株価「二番底」も
・米中の弱体化で混沌の時代へ ブレマー氏「日本の利上げは難題」
・自動車:造れば売れる市場に景気後退の影 それでも進むEVシフト
・電機:家電値上げで問われる付加価値 半導体は調整局面も投資堅調
・ネット・通信:GAFAMは縮小均衡へ 楽天モバイルの正念場続く
・小売り:値上げラッシュが個人消費に影 宅配サービスで陣取り合戦
・外食・飲料:飲食店に優勝劣敗の荒波 一部は「協力金でふぬけに」
・航空・鉄道・ホテル:脱コロナで回復も景気変調や人手不足に不安(今回)
- ・燃油高や円安が長期化すれば航空の収益に影響する可能性
- ・景気停滞で貨物需要が減少、レジャー需要取り込みカギに
- ・鉄道は運賃値上げラッシュ、コスト削減にも本腰入れる
人々の行動が大きく制限された新型コロナウイルス禍により、経営が大きな打撃を受けた航空・鉄道業界。ただ、社会が「ウィズコロナ」のフェーズに移行し始めたことを受け、その業績は回復傾向にある。
航空では、ANAホールディングス(HD)が2022年4~9月期連結決算で営業損益を314億円の黒字に転換させた。中間決算としては3年ぶりの黒字だ。22年夏は新型コロナ「第7波」が急拡大したが、行動制限はなく、国内線需要は大きく回復。国際線事業も水際対策の段階的な緩和で復調傾向にある。
そんな中、20年以降の収益構造の改善が奏功。需要がコロナ禍前の水準に達せずとも、利益を出せる状態になっている。これは日本航空(JAL)も同様で、22年7~9月期はEBIT(利払い・税引き前利益)が279億円の黒字となっている。23年3月期通期での黒字化の実現可能性はかなり高い。
航空貨物に変調の兆し
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この記事はシリーズ「大胆予測2023~リスクはどこに」に収容されています。WATCHすると、トップページやマイページで新たな記事の配信が確認できるほか、スマートフォン向けアプリでも記事更新の通知を受け取ることができます。
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