高まるコスト、滞る消費──。逆境の中で迎える2023年は日本の産業界にとってどんな年になるのか。シリーズ「大胆予測2023」では、今回から各業界を担当する記者たちによる主要業種の近未来予測をお届けする。トップバッターは半導体不足などによって正常化が遅れている自動車業界だ。
■連載ラインアップ
・大胆予測2023:台湾有事に備えよ 兵糧攻めで日本に打撃
・米国と中国の巨大戦力が対峙 日本揺るがす台湾有事の最悪シナリオ
・ウクライナがロシアに勝つ エモット氏「プーチン氏の権力の最後」
・油断できぬ為替、1ドル=150円が日常に 日本に構造的な売り圧力
・踊らぬ消費、値上げと賃金伸び悩みの板挟み 力不足のインバウンド
・テック業界浮上せず 高成長神話陰りバブル崩壊、株価「二番底」も
・米中の弱体化で混沌の時代へ ブレマー氏「日本の利上げは難題」
・自動車:造れば売れる市場に景気後退の影 それでも進むEVシフト(今回)
・電機:家電値上げで問われる付加価値 半導体は調整局面も投資堅調
・ネット・通信:GAFAMは縮小均衡へ 楽天モバイルの正念場続く
・小売り:値上げラッシュが個人消費に影 宅配サービスで陣取り合戦
・外食・飲料:飲食店に優勝劣敗の荒波 一部は「協力金でふぬけに」
・航空・鉄道・ホテル:脱コロナで回復も景気変調や人手不足に不安
・半導体不足の解消が遅れ、生産・販売への制約続く
・ガソリン車規制が強まり、EVでの競争が一段と激しく
・日本メーカーがEVで巻き返すには、なお時間
「(半導体不足が収束する時期が)2023年か、24年かはよく分からない」。トヨタ自動車の22年4~9月期連結決算発表会見で、熊倉和生・調達本部長は困惑の表情を浮かべた。「世界のトヨタ」でさえ、半導体の調達に翻弄されている。そんな状況が23年も続く。
半導体不足は、新型コロナウイルス禍から経済が回復する過程における世界的な需要増加に伴い、多くの業種で常態化した。自動車メーカーは半導体の獲得競争で苦戦。販売店では納車まで3~6カ月待ちが当たり前となり、トヨタのSUV(多目的スポーツ車)「ハリアー」などは受注中止に追い込まれた。

状況が改善する期待はある。「世界的に半導体の供給過剰が鮮明になっている」(三井住友DSアセットマネジメントの白木久史氏)からだ。半導体には約4年ごとに供給の不足と過剰を繰り返す「シリコンサイクル」と呼ばれる周期があり、足元で半導体部品の在庫は積み上がっている。「半導体メーカーが、後回しにしてきた自動車向け半導体の生産を増やす可能性がある」と白木氏はみる。
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