2022年はロシアによるウクライナ侵攻を筆頭に、世界を揺るがす地政学的事件が数多く起きた。米中間選挙では共和党が下院を奪還しバイデン政権は弱体化、中国もゼロコロナ政策の余波で経済が弱まっている。勝者なき世界に待つのは何か。国際政治学者のイアン・ブレマー氏に聞く。
(聞き手は ニューヨーク支局 池松由香)
■連載ラインアップ
・大胆予測2023:台湾有事に備えよ 兵糧攻めで日本に打撃
・米国と中国の巨大戦力が対峙 日本揺るがす台湾有事の最悪シナリオ
・ウクライナがロシアに勝つ エモット氏「プーチン氏の権力の最後」
・油断できぬ為替、1ドル=150円が日常に 日本に構造的な売り圧力
・踊らぬ消費、値上げと賃金伸び悩みの板挟み 力不足のインバウンド
・テック業界浮上せず 高成長神話陰りバブル崩壊、株価「二番底」も
・米中の弱体化で混沌の時代へ ブレマー氏「日本の利上げは難題」(今回)
・自動車:造れば売れる市場に景気後退の影 それでも進むEVシフト
・電機:家電値上げで問われる付加価値 半導体は調整局面も投資堅調
・ネット・通信:GAFAMは縮小均衡へ 楽天モバイルの正念場続く
・小売り:値上げラッシュが個人消費に影 宅配サービスで陣取り合戦
・外食・飲料:飲食店に優勝劣敗の荒波 一部は「協力金でふぬけに」
・航空・鉄道・ホテル:脱コロナで回復も景気変調や人手不足に不安

2022年に起きた地政学的リスクのトップ3を挙げるとしたら何でしょうか。
イアン・ブレマー氏(以下、ブレマー氏):22年の1位は、他を大きく引き離してロシアのウクライナ侵攻でした。侵攻には石油価格の高騰やサイバー攻撃など複数のリスクが含まれていますが、23年にかけて注意しなければならないのはプーチン大統領の心理状態でしょう。
1960年代初頭のキューバ危機のときと現在とではロシアを取り巻く環境は異なります。当時は米ロがほぼ対等な立場にあり、軍事衝突を避ける方向で話し合えましたが、現在は北大西洋条約機構(NATO)の加盟国が増え勢力を増しています。両者が話し合いで停戦にこぎ着けたとしても、プーチン大統領には最悪の事態が待っています。
侵攻で欧州向けエネルギー輸出の契約を失い、ロシアの新興財閥(オリガルヒ)は資産を差し押さえられて弱体化しているため、停戦してもロシアの経済は決して良くなりません。高官など重要な人材もすでに国外に逃亡。プーチン大統領が世界の秩序を乱す行動をいとわない人物であることを踏まえると、NATO加盟国を巻き込んでの戦争に突入しかねません。

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