天才たちはどんな本を読んでいるのか? テスラのイーロン・マスク、アマゾンのジェフ・ベゾス、マイクロソフトのビル・ゲイツ。世界一の富豪になったイノベーターたちは、実は猛烈な読書家です。歴史、SF、科学、経営、経済、自己啓発……。3人の仕事と人生には、さまざまな本が大きな影響を与えています。日経BPは、天才たちが読んだ本を紹介する書籍『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』をこのたび出版しました。本書の刊行に合わせて、3人が経営や人生に読書をどう生かしているのかを読み解く連載をスタートさせました。第2回では、ビジネスリーダーにとり、「知識の幅」がなぜ大事なのかに迫ります。

 “読書の鬼”という言葉がまさにぴったりのイーロン・マスクとジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ。彼らが読んできた大量の本は、3人に強い影響を与えています。天才たちは少年時代から猛烈な読書家でしたが、大人になって起業家として大成功してからも多様なジャンルの本を読みあさり、知識をアップデートし続けています。

 「学ぶことをやめるまで、本当に年を取り始めることはない。すべての本は私に何か新しいことを教えてくれたり、物事の見方を変えたりするのに役立つ。読書は世界への好奇心を刺激し、それが私のキャリアや仕事を前進させる力になった」。ゲイツはこう述べています。

1年間に50冊の本を読む猛烈な読書家として知られるビル・ゲイツ(写真:ロイター)
1年間に50冊の本を読む猛烈な読書家として知られるビル・ゲイツ(写真:ロイター)

 読書を通して学び続けることが、変化する世界を理解し、新しい情報や異なる視点を得る力になるとゲイツは考えています。

 過去10~20年の間に科学は進歩し、遺伝子工学や人工知能(AI)などのテクノロジーは飛躍的な発展を遂げました。とりわけディープラーニング(深層学習)によって進化したAIは、自動運転や音声認識などの分野で急速に利用が広がっています。

 経済学では、21世紀に入って「行動経済学」が脚光を浴びるようになりました。経済学と心理学を融合させたアプローチで、マーケティングなどにも役立つ身近で新しい経済学として認知されるようになりました。さらにベストセラーの『ファクトフルネス』に記されているように、最新の統計データを検証すると、世界の状況は20~30年前には想像できなかったほど変化しています。

 欧米や日本などの先進国と新興国の格差は縮小し、貧困は減り、医療も大幅に改善しました。歴史でも、それぞれの国や地域に焦点を当てた伝統的な見方に対して、「人類史」という大きな視点に立った研究が目立っています。宇宙のビッグバンから現在までの歴史を、科学分野を含めて考察する「ビッグヒストリー」と呼ばれる学問分野も新たに誕生しています。

次ページ 巨人の肩の上に乗る