天才たちはどんな本を読んでいるのか? テスラのイーロン・マスク、アマゾンのジェフ・ベゾス、マイクロソフトのビル・ゲイツ。世界一の富豪になったイノベーターたちは、実は猛烈な読書家です。日経BPが出版した書籍『天才読書 世界一の富を築いたマスク、ベゾス、ゲイツが選ぶ100冊』の一部を抜粋し、加筆・再編集してお届けする連載の第11回では、天才たちが世界を救いたがる理由に迫ります。
イーロン・マスク、ジェフ・ベゾス、ビル・ゲイツ……。天才的なイノベーターたちは「世界を救いたい」と繰り返し発言しています。環境問題などの危機に瀕している“地球”を救いたいという意識も強く感じられます。
「テスラは地球上の生命を守り、 スペースXはそれを超えて生命を拡張する」。2022年7月15日、マスクはツイッターにこんな書き込みをしました。
テスラでは、EV(電気自動車)を普及させることで二酸化炭素の排出量を減らして地球の温暖化を食い止め、自動運転技術で事故を減らして多くの生命を救いたい、とマスクは繰り返し述べています。
一方、スペースXで目指すのは人類を火星に移住させることです。地球が滅びかねないような危機に備えて、人類が移住できるほかの惑星を開拓することが必要だと考えているからです。
背景には「現在のような人類の繁栄が将来続かない可能性がある」というマスクの世界観があります。「歴史は、技術が波のように進歩したり、後退したりすることを示唆している。歴史上の多くの文明はそのような経験を繰り返してきた。技術の後退が起きる前に火星に恒久的な基地を作りたい」。2014年に実施した日経ビジネスの特集向けインタビューでマスクはこう語りました。

マスクの火星への移住計画は驚くほどスケールの大きいものです。2050年までに100万人を火星に送ることを目指しており、そのためには「スターシップ」と呼ばれる再利用可能な巨大宇宙船が「1000隻必要になる」とマスクは述べています。
太陽系において火星は、地球以外で人類が住むのに最も適しているとされる惑星です。火星の1日は約24時間39分で、地球と比べて半径はおよそ半分と小さいものの陸地面積は同じくらいで、重力は40%程度です。マスクは火星を人類が居住できる環境に改造する「テラフォーミング」も検討しています。火星の極地に核爆弾を落として氷を溶かすことにより、水蒸気と二酸化炭素を発生させて、気温を上昇させるというアイデアです。
SFのように壮大で、まさにクレイジーなアイデアといえるでしょう。それでもマスクは、環境問題だけではなく、戦争、人工知能(AI)の想定外の進化などで思いがけない危機が起きて、地球が滅亡する可能性を懸念しています。だからこそ、地球に住めなくなっても、人類を救済できるようなテクノロジーの実現に情熱を燃やしています。
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