今年、日本の大学からノーベル賞の受賞者が出たと言っても、あまりピンとこないだろう。生理学・医学賞に輝いたスバンテ・ペーボ氏は、実は沖縄科学技術大学院大学(OIST、沖縄県恩納村)の非常勤教授だ。「沖縄の振興と自立的発展」を目的に国主導でOISTが開学して10年。ペーボ氏のような第一人者を国内外から集めてきた。果たして成果は上がっているのか。

 OISTがあるのは、那覇市内から車で1時間ほど北上した恩納村。ビーチの周辺にリゾートホテルが立ち並ぶ観光地として知られるが、OISTは海を見下ろす高台に位置する。

 キャンパスに入ると、まるで外国の大学に紛れ込んだかのよう。学内の公用語は英語で、アルファベットで書かれたポスターがあちらこちらに張られている。それもそのはず、博士課程の学生255人のうち外国人の比率は実に8割(2022年1月時点)。約90人の教員および約1000人の職員の中に占める外国人の割合も約4割だ(同年4月時点)。優れた論文数の割合で世界の研究機関をランク付けする「ネイチャー・インデックス」では19年、東京大学を抜いて国内1位に輝いた。世界でも9位と評価は高い。

人種や国籍を問わずさまざまな人材が一緒に研究を進めている(写真=前新直人)
人種や国籍を問わずさまざまな人材が一緒に研究を進めている(写真=前新直人)

 国内外から優秀な研究者が集まるのは、高度な研究に取り組める環境が整っているからだ。国内の大学や研究期間では短期間での成果を求められる傾向が強まっているが、OISTではまず5年間の研究資金を担保し、5年後に成果を厳しくチェックして、継続するかどうかを決める仕組みを採る。その後ろ盾となっているのが、年間200億円前後の予算。これは教育行政をつかさどる文部科学省からではなく、内閣府の沖縄振興予算から支出されている。

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